生物学の授業で寿司ネタをDNA鑑定したらホラーな結果が
カナダの大学で生物学を教えている教授が、授業の一環として学生たちに寿司ネタを持って来させた。
地元の寿司レストランから持ち帰ったネタ(魚の肉片)を使って、DNA鑑定の実習を行うためだ。DNAを解析すれば、魚全体の姿を見なくても、その魚が何か特定できる。
こうして判明した魚の名前は、ほとんどが売られている寿司ネタの名と違っていた。つまり、看板に偽りあり、というわけだ。
寿司ネタの名称が実際に使われている魚の名と違うことは、ある程度知られた事実だろう。だが、このDNA鑑定では、さらに恐ろしい事実が発見された。1つのものには、胃がひっくり返りそうになる謎の成分が入っていたという。
DNA鑑定実習を指導したカナダ・ファンシャーウ大学のJennifer McDonald教授は、その経緯と結果をツイッターに投稿している。
DNA鑑定で寿司ネタ虚偽を暴く授業
McDonald教授がこの実習を開始したのは3月末のこと。彼女のツイッター投稿(4月2日)にこう書かれている。
というわけで金曜日、分子生物学の生徒に、寿司ネタ虚偽表示(fish fraud)に関する実験課題を与えた。寿司を食べに行ってサンプルをフリーザーバッグに入れて持ち帰り、寿司ネタの名前を書いたカードを付けて研究室の冷蔵庫に入れておくように指示した。
My molecular bio students are also going to be doing the @BioRadEducation Fish Forensics kit to learn about food fraud and the CFIA, so I took one for the team and went out for sushi to get some samples. I this considered a “business expense”? 🤔 lol pic.twitter.com/KSc4KUBbTC
— Dr. Jen M (@AwesomeBioTA) March 13, 2019
DNA解析で得られるバーコードのような画像(ゲル画像/gel image)を、すでにある魚のDNAのデータベースにある画像と比較して、同じものが見つかれば魚の名前がわかる、と教授は言う。魚の種を特定するDNAは、DNA全体から見るとごく一部分なので、それほど難しい作業ではないそうだ。
McDonald教授は、解析結果の画像をツイッターにアップしている。
Thursday I'll send them for sequencing and we'll collectively cross our fingers to see what we get. Here's the gel images in case you're curious. Keep in mind this is the…3rd PCR most of these students have set up, and some wells are negative controls. pic.twitter.com/nhVQHtwgrP
— Dr. Jen M (@AwesomeBioTA) April 1, 2019
ほとんどが偽の魚
さて、結果はどうだったか? ここから先は、教授のツイートを順にご紹介しよう。
Jouse(生徒の名前)は鯛(タイ)を解析。私は、鯛でなくティラピアであることに5ドル賭け……私が正解。5ドル勝った。
彼と組んでいるJuanniはアトランティックサーモンを解析。結果はニジマスだった。同じ種ではないが、驚くような結果ではない。
ティラピアは日本でも「イズミダイ」「チカダイ」という名称で流通しているが、鯛とは全く別種の魚だ。
DavidとNicolasはニジマスと思われるものを解析した。Nicolasのものは確かにニジマスだった。燻製されていたDavidのものはギンマス(コーホーサーモン)だった。
Reenaは、私が食料品店で買ったMSC認証シール付きの、アイスランド・タラ(鱈)なるものを解析。それはタラだった。よかった。
Sydneyは、パッケージに「太平洋ダラ(pacific cod)」と書かれているものを解析。それは大西洋ダラだった。ヒェ〜!
「アイスランド・タラ」も「太平洋ダラ」も単なる流通名で、実際には存在しない。MSC認証は、環境に配慮した漁業を認証する制度で、魚の名称表示とは関係ない。
Jadeが解析したのは、寿司レストランでマグロの赤身として提供されていたもの。なんとそれはティラピアだった!!!!!
Moeは2つの寿司レストランから、ホワイト・ツナという名で提供されているサンプルを持ち帰った。ホワイト・ツナは正式名称ではないけれど、ビンナガマグロの別名としてよく使われる名前。解析してみるとキハダマグロだった。
Evalyneは、もう1つのホワイト・ツナを解析。これは私が持ち帰ったもので、私は嫌いなので食べなかったが、好きなら食べていたかもしれない。それはアブラソコムツだった。
これは危険。重篤な胃腸障害を起こす可能性がある。
アブラソコムツは有害であるため、日本では販売禁止となっている。
そして最後のサンプルは、おぞましい結果になった。サケ(鮭)だと思われるそれは「不明の物質(塩基)」という結果が出たのだ。
そのサケは、私が近所の食料品店で買ったもので、カウンターで切り身を量り売りしてもらったもの。
教授は「不明の物質」をさらに分析した。それが何か分かるには、遺伝子の中の少なくとも500の塩基対(えんきつい、base pair)が判明しなければならないらしいが、「不明の物質」から得られたのは200の塩基対だけだったそう。なので、信頼できる分析とは言えないが、教授は結果をツイートしている。
それはシラミ(虱)、人につくコロモジラミ。
この結果を見たとき、私は口の中に押しとどめたけれど、少し吐いたと思う。これは分析のミスであって欲しい。全ての宗教の全ての神にかけて、ミスであって欲しい。
サンプルは市場のゴミから取ったものではない。サーモンのフィレとして立派に売られているものだ。
シラミ。
魚のDNAを検出できなくするために、どれだけ大量のシラミがあればいいのかを想像して欲しい。
この実習に参加した生徒は16名。分析がうまく行った寿司ネタのサンプルは全部で9つ。そのうち、正しい名前で提供・販売されていたのはたった2つだったそう。教授はDNA分析の結果に、いい意味か悪い意味かは分からないが、「ゾクゾクした(I’m trilled)」と言っている。(了)
出典元:boredpanda:Biologist Exposes Sushi Restaurants For False Labels For Their Ingredients(4/11)