グリーンランドの氷が解けて浅い湖に…気象学者の写真に注目が集まる
地球温暖化については諸説あるようだが、先日グリーンランドで撮影された写真が、人々にショックを与えている。
氷河の表面が解け出し、浅い湖のように
その写真を撮影したのは、デンマーク人気象学者のSteffen M. Olsenさんだ。
彼はグリーンランドにおいて、氷に埋め込まれた調査装置を回収する仕事を担っており、6月13日にいつものように犬ぞりで回収地点に向かったという。
そして北西部にあるInglefield湾を通ったところ、氷床(氷河)が解け出し、あたりが浅い湖のようになっている場面に遭遇したそうだ。
Olsenさんが撮影した写真は、その後仲間の科学者であるRasmus Tonboeさんによってツイッターでシェアされ、北極の氷の溶ける速さについての警告として、広まっていった。
@SteffenMalskaer got the difficult task of retrieving our oceanographic moorings and weather station on sea ice in North West Greenland this year. Rapid melt and sea ice with low permeability and few cracks leaves the melt water on top. pic.twitter.com/ytlBDTrVeD
— Rasmus Tonboe (@RasmusTonboe) June 14, 2019
昨年よりも47万平方キロ広い
氷雪圏の観測およびデータの管理・配信などを行う米国の研究機関「National Snow & Ice Data Center」のデータによれば、6月12日時点でグリーンランドの表面を覆っていた氷、約71万2000平方キロメートルがすでに解け始めているという。
これは2018年の同じ時期のデータより、47万平方キロメートル以上も広く、1981年から2010年にかけての中央平均値よりも、60万平方キロメートル広いそうだ。
しかもグリーンランドでは、40%以上の面積がたった1日で解けることを経験しており、その時に失われた氷の量は2ギガトン(20億トン)にも及ぶと見積もられている。
また2012年には数日でグリーンランドにある氷床の97%の表面が解けており、これまでの最高記録になっているのだが、2019年もこの数値に匹敵する可能性があるという。
欧州北西部に強い嵐が起きる可能性
デンマークとグリーンランド地質調査所に所属する気象学者のJason Box教授は、次のように語っている。
「北大西洋に流れ込むこれらの解けた水は、海流のパターンをかき乱しています。私たちはその結果を完全に理解しているわけではありませんが、ヨーロッパ北西部により強い嵐をもたらす可能性があります」
またデンマーク気象研究所は先月、氷が解け出す時期が予想より1カ月以上早まっていると発表しており、この記録は1980年以来2番目に早いと言われている。(了)
出典元:euronews:The viral image that illustrates the scale of melting ice in Greenland(6/17)