「ライトセイル2号」が太陽帆を開くことに成功、低コストの推進力として期待
地球の低軌道を周回していた「ライトセイル2号」が、先日太陽帆を開くことに成功したと発表された。
低コストの推進力になることに期待
「ライトセイル2」はパンほどの大きさの「CubeSat」と太陽帆から成り立っており、太陽帆は32平方メートルに広がり、素材のマイラー(ポリエステルフィルム)は髪の毛ほどの薄さしかない。
この帆は太陽からの光の粒子(フォトン:光子)を受けて、小さな宇宙船などの推進力となる。また帆の向きは地上でエンジニアが操作できるという。
これが実現できれば将来、より低いコストで宇宙空間を移動する手段になりうると期待されてきたが、先週の始め、惑星協会は太陽帆を開くことに成功したと発表、映像も紹介した。
This one goes out to all the members and backers who made this solar sailing mission possible. Go #LightSail2! pic.twitter.com/Wzc7V67HDi
— Planetary Society (@exploreplanets) July 24, 2019
A perfect day for sailing! Images from the spacecraft confirm the solar sails deployed on 23 June 2019 at 11:47 PDT. Details at https://t.co/FZahKXhJh5 pic.twitter.com/ySyR4zUNJv
— Planetary Society (@exploreplanets) 2019年7月24日
1970年代に提案されたアイディア
「ライトセイル2号」は6月後半に、スペースX社のファルコン・ヘビーロケットに搭載されて打ち上げられ、地球の軌道を周回していたという。
そして7月23日に帆を開くことに成功し、現在も順調に進み、少しずつ加速し続けているという。
この太陽光を帆で受けて進むというアイディアは、1970年代に科学者で作家のカール・セーガン氏が提唱したものとされている。
そして2015年にも「ライトセイル1号」が打ち上げられたが、その時は地球へ落下してしまったという。
そのため「惑星協会」はクラウドファンディングで資金の一部を募り、「ライトセイル2号」を製作。今回の成功にこぎつけた。
「ライトセイル2号」の目標は、地球からより離れた位置まで到達すること。またこの輝くセイルは約1年間、地表から肉眼で見えるはずと研究者は語っている。
実は日本のJAXAも「IKAROS」で、太陽光反射帆の展開に成功しており、その時も世界から注目を集めた。(了)
※下はイメージ動画。非常に仕組みが分かりやすいため、是非ご覧いただきたい。
出典元:MailOnline:Stunning image captured by Planetary Society’s spacecraft show its ultra-thin solar sail unfurled against the backdrop of Earth as it begins ‘sailing on sunlight’(7/26)
出典元:BUSINESS INSIDER:太陽光だけで宇宙を航行「ソーラーセイル」宇宙船とは?(6/26)