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ブルーライトが目の見えないハエの寿命も縮めていた:オレゴン州立大学

ブルーライトが目の見えないハエの寿命も縮めていた:オレゴン州立大学
Oregon State University

コンピューターなどから発せられるブルーライト。これを長時間浴びた場合、ハエの寿命に影響がみられたとする研究結果が発表された。

 

ハエに長時間青いLEDライトを当てる

 

アメリカのオレゴン州立大学が行った研究によれば、発光ダイオードによって生成される青色の波長は、ハエの網膜と同様に脳の細胞にダメージを与える可能性が示唆されたという。

 

この研究は多くの実験などで広く利用されている、重要なモデル生物の「キイロショウジョウバエ」を使い行われ、その結果は10月16日に「Aging and Mechanisms of Disease」において発表された。

 

「キイロショウジョウバエ(以後ハエと表現)」が実験で使用されたのは、他の動物や人間と共有する細胞や発達メカニズムを持っているからだとされ、光は電話やタブレットから発せられる青い波長と似た、青色のLEDライトが使われたという。

 

寿命も短く、運動機能も低下

 

研究者らはハエに12時間ブルーライトを当て、残りの12時間は暗闇の中で過ごさせたという。

 

するとこれらのハエは、24時間暗闇の中で過ごしたハエや、青い波長を取り除いた光に当てたハエと比べて、老化が進み、寿命が短いことが示されたそうだ。

 

またブルーライトが当てられたハエは、網膜の細胞や脳内のニューロンがダメージを受けており、運動障害も発生。通常よく行われている囲い中の壁を登る能力も低下していたという。

 

flickr_Hannah Davis

目の見えないハエでさえ影響を受けていた

 

また実験で使われたハエの中の何匹かは、目を発達させていないミュータント(突然変異体)だったが、目のないハエでさえ脳にダメージを受けており、運動機能の低下も見られたそうだ。

 

つまりこのことは、ブルーライトによる害を被るのに目は必要なく、逆に目でブルーライトを見なくても、ハエの身体に影響を及ぼしていたことが考えられる。

 

オレゴン州立大学理工学部、統合生物学のJaga Giebultowicz教授は、次のように語っている。

 

「ハエにおいて、光が老化を加速させているという事実は、最初私たちを非常に驚かせました。私たちは、老いたハエにあるいくつかの遺伝子の発現を測定しました。そして光に当てられた場合、ストレス反応を示す、防御的遺伝子が発現しているのを発見したのです。そして私たちは、光がこれらの遺伝子を制御しているのではないか、と仮説を立てました。その後、それらにとって有害な光の中には何があるのかと考え始めたのです。そして光のスペクトル(色の帯)を観察したのです。その結果、青のない光でも寿命をわずかに短くするけれども、青いライトだけでも劇的に寿命を短くすることが、明確になったのです」

 

LEDライトの人間への影響は分かっていない

 

Giebultowicz教授が記したものによれば、自然の光は体のサーカディアンリズム(24時間周期で変動する生理現象)、つまり食事や睡眠パターンの要素となる細胞再生やホルモン生産、脳波の活動のような生理学上のプロセスにとって重要だという。

 

また人工の光を浴びることは、睡眠障害やサーカディアン障害の危険因子になると示唆する証拠もあるそうだ。その上でGiebultowicz教授は次のように語っている。

 

「LED照明とデバイスのディスプレイの普及により、人間は増加する青色スペクトルの光に身をさらされています。というのも一般的に使用されているLEDは、ブルーライトの大部分を放出するからです。しかし、この技術、つまりLED照明は、ほとんどの先進国でさえ、人間の生涯にわたる効果を知るのに十分なほど長く使用されていません」

 

Giebultowicz教授はハエが選択肢を与えられた場合、青い光を避けるとしており、今後はブルーライトから逃げる要因を作っている同じシグナルが寿命に関与しているかを調べるつもりだ、と述べている。(了)

 

 

出典元:Oregon State University:Daily exposure to blue light may accelerate aging, even if it doesn’t reach your eyes, study suggests(10/16)

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