【新型コロナウイルス】米の病院でAIを使った感染対策が進む
新型コロナウイルスの感染が拡大しているアメリカで、ある病院の研究チームらがAIなどを活用した対策を試みている。
AIがネットなどあらゆる情報を活用
この感染対策を行っているのは、マサチューセッツ州にあるボストン小児病院の「Innovation & Digital Health Accelerator (IDHA)」と呼ばれる研究チームだ。
彼らはウイルスが広がりを見せる中で、それを追跡するためにAIやソーシャルメディアの情報などを活用することを考えているという。
実際、チームは医者から提供される警告のための情報や、公的保健機関からのデータ、そしてニュース報道、ソーシャルネットワークの投稿などを、現在AIに機械学習させているそうだ。ボストン小児病院のJohn Brownstein医師は、次のように語っている。
「ネット・ニュースやソーシャルメディア、クラウドソーシングやデータソースには、しまい込まれている信じられないほどのデータがあります。(略)実際、それらには従来の政府のシステムでは発見できない、膨大な量の情報があるのです」
ウイルスを追跡する公的な地図
研究チームが作ろうとしているのは、ヘルス・マップだ。これを作るため医者はAIを使い、病気の可能性があるエリアなどで、呼吸器や熱などの感染に似た特定の徴候について言及している投稿を探し出すという。
その結果、最終的にはウイルスをリアルタイムで追跡でき、人々がアクセスできるような公的な地図(デジタル・マップ)にしていくそうだ。Brownstein医師は次のように語っている。
「例えソーシャルメディアやネット・ニュース、ブログ、チャットルームだろうと、私たちは病気についての投稿や症状などについての手掛かりを探しています。(略)私たちはその(地図)コンテンツを運用し、タグ付けし、フィルターをかけ、出現しつつある感染症の世界的な地図を作っているのです。そうすることで特定の国や場所でふつふつと何かが湧き上がってきた時、それがいち早く私たちに語ってくれるのです」
それでも全ての感染者を把握することは困難?
このチームはウイルスを見つけられるようにするため、積極的に「COVID-19」に関する緊急の情報を、世界中の保健機関とシェアしているという。
しかし困難なことは、彼らが見つけた「COVID-19」の可能性のある症例を正確に確かめること。Brownstein医師は次のように語っている
「現実は、誰かが感染した可能性がある時に、確かにそれを知ることが困難だということ。だからこそ、私たちはワシントン州で起こりうる感染の連鎖に注目しているのです。なぜなら全ての症例が特定されるわけではないからです」
実際に医療チームは、当初からウイルスを追跡し続けてきたが、アメリカでどのくらい早く感染が広がるのかについては、まだあまりにも早すぎる段階のため伝えることはできないと指摘している。その上で、Brownstein医師は次のように述べている。
「私たちは、アメリカ周辺のさまざまなコミュニティの住民に対し、どの範囲まで(この病気の)影響が及ぶかについて、本当に分かっていないのです。だからこそ、私たちは周りを監視する体制を高めているのです」
現時点ではアメリカで発生する感染者の全てを把握することは困難なようだが、AIを使い、できるだけ多くの感染例を見つけ出す努力は大切なのかもしれない。(了)
出典元:ABC News:Doctors using artificial intelligence to track coronavirus outbreak(3/7)