【新型コロナ】抗体に関して残る大きな疑問とは?:ワシントン・ポスト
新型コロナウイルスの抗体の問題ついて、アメリカの有力紙「ワシントン・ポスト」が興味深い記事を掲載している。
抗体ができた人は自由に暮らせるか議論に
現在、日本でも新型コロナウイルスの抗体検査の導入が検討されているが、よく分かっていない点がある。
それは新型コロナから回復した人が実際、新たな感染に対する免疫をどのくらい持てるのか、という点だ。
また免疫を持つと体内に抗体が作られるが、その効果がどれほど長く続くのか、ということも重要となってくる。
アメリカやヨーロッパなどでは、新型コロナから回復した人に「証明書」を発行することを検討しているが、この点が分かっていないため、証明書を与えた人に普段通りの生活に戻ることを許可するか、議論になっているという。
SARSでは2年間免疫を維持
2003年に蔓延したSARSの研究では、平均で2年間ウイルスの力を無効化する抗体を維持し、その後は減少していくという。
他のコロナウイルスも、ある期間において部分的な抗体を作ることがあるそうだ。実際、普通の風邪を引き起こす他の2つのコロナウイルスは、平均で約45週も免疫が維持されると言われている。
ただ新型コロナの場合、免疫が他の季節性のインフルエンザのように年に1度は消えてしまうのか、または2年毎、5年毎なのか分かっていない。
中国、症状の軽い人は抗体が作られず?
中国からの報告(まだ研究者間での査読も終わっていないもの)では、症状の軽い患者からは幅広い抗体が発見されているという。
ただしより若い人には病気の直後、抗体はほとんど見られず、それらのサンプルの30%は低いレベルだったそうだ。
また何人かの患者は、抗体の痕跡すら残っていなかったとか。ここからPCR検査において陽性と確認された人で、症状の軽い人は、2度目の感染にもかかりやすい可能性があるのか、という疑問が生じている。
韓国では完全に回復した人も再び陽性
また韓国からの報告によれば、保健当局が新型コロナから回復した91人の患者を、その後検査した結果、再び陽性になったという。
このため韓国の保健当局は、その患者らが再び感染したのか、それとも残っていたウイルスが「再活性化」したのかを調べるため、検体サンプルを採取。それをシャーレの中で培養し、患者がウイルスを拡散させているかを確認する予定だという。
そしてこの結果は、2週間後(4月15日時点から)に明らかになる予定だとしている。
新型コロナの抗体が作られても、それがどの程度の強さを持つのか、またどの程度持続するのかによって、抗体検査の意味も変化してくる。今後も、その点に注視していきたい。(了)
出典元:The Washington Post:Coronavirus immunity remains big question mark for a country eager to reopen(4/15)