気候変動で北極圏の氷から眠っていた微生物が復活、人類の脅威になる可能性あり
新型コロナウイルスのような疫病と、気候変動問題。一見、両者に関係はなさそうだが、ある学者が2つを関連付けて警鐘を鳴らしている。
氷が解け出し、眠っていた微生物が蘇る
その学者とは、感染症予防の国際プロジェクト「グローバル・バイローム・プロジェクト」の総裁であるDennis Carroll博士だ。
彼は先日、Netflixのドキュメンタリー番組「Pandemic」に出演。
そこで温暖化がすすめば、それまで北極圏の氷の中で眠っていた微生物が解け出し、再び命を与えられ、人間に脅威を与える可能性があると語ったという。
古代の微生物が新たな命を与えられる
実は同様の論文は他の科学者からもすでに発表されており、気温が上昇して北極圏の永久凍土が解け出すことで、眠っていた古代の微生物に新しい命を与える可能性について述べられているそうだ。
しかも数千年も氷の中で眠っていたバクテリアやウイルスが、かつて人類が根絶したとする病気や、まだ出会ったことのない未知の病気を発生させる可能性もあるという。その上でCarroll博士は次のように語っている。
「凍ったツンドラの中で長い眠りについていた古代の微生物が、気候変動や、北極圏の氷が解け出すことによって新しい命を与えられる、という非常に現実的な予測に世界は直面させられています。これらの復活した微生物が人間に与えるリスクは分かっていません。しかし、それらの潜在的な脅威を低く見積もることについて、非常に用心すべきであることをCovid-19が思い起こさせています」
800万年前のバクテリアを復活させた
そもそも北極圏の気温は過去30年間で劇的に上昇しており、気候変動が悪化するに伴い、世界の他の地域よりも急速に気温が上昇し続けると予測されているという。
また2016年にはロシアで炭疽病が突然発生し、1人の少年が死亡。その原因はシベリアで氷から解け出したトナカイの死骸から来たと考えられているとか。
また学会も以前、800万年前の氷に眠っていたバクテリアを復活させており、当時もそれがどれほど危険なものかが示され、また近年、科学者が北極圏の永久凍土の中で新型の巨大なウイルスも発見しているという。
気候が変化すれば、単に植物や動物だけでなくさまざまな生物が影響を受けることを考えれば、北極圏でなくても新たなウイルスが登場してくる可能性があるのかもしれない。(了)
出典元:METRO:Climate change could unlock Ice Age bugs that spark the world’s next pandemic(5/7)