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武漢研究所のキーマン、「バットウーマン」と呼ばれる女性研究員が取材に答える

武漢研究所のキーマン、「バットウーマン」と呼ばれる女性研究員が取材に答える
YouTube/CGTN

中国の武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)で働く女性研究員が、中国のメディアの取材に応じ、その動画が公開されている。

 

長年、コロナウイルスの研究をしてきた人物

 

その女性研究員とは、武漢ウイルス研究所P4実験室の副所長である石正丽(Shi Zhengli)氏だ。彼女はこの研究所でコロナウイルスの研究にあたっており、新型コロナがコウモリ由来であることを示した論文を初めて発表したチームの一員とされている。

 

石正丽氏は欧米のメディアで「バットウーマン」と呼ばれ、新型コロナの発生源について鍵を握っている人物とされてきたが、これまであまり取材にも応じず、沈黙を保ってきたという。

 

しかし今回、中国国営メディア「CGTN」の取材に答え、その動画が公開された。

 

サンプル取得後の研究内容を説明

 

動画の中で石正丽氏は、記者から「昨年の12月30日に新型コロナのサンプルを受け取って以来、ウイルス特定のために、どのような作業を行ってきたのか」との質問に対し、次のように語っている。

 

「私たちは2019年12月30日の午後に、新型コロナのサンプルを受け取りました。そして私たちのチームが最初に、そのサンプルについての研究を行いました。そのサンプルは原因がよく分かっていない肺炎からのサンプルと考えられました。私たちの研究所では、長い間コロナウイルスの研究を行ってきました。そのため、私たちはサンプルのハイスループット塩基配列処理を行いました。また病原体を分離しました。その後、短期間でこれらのサンプルの中に新しいタイプのコロナウイルスがあると判断し、全てのゲノムの塩基配列を得ました。そのことは、この病原体の塩基配列が、すでに私たちの知っているどのウイルスとも同じではないことを証明していました。そのため私たちは、これを『新型コロナウイルス』と名付けたのです」

 

「その後、我が国にある2つの医学研究所と共に、私たちは1月12日に世界保健機関に対し、新型コロナウイルスの全てのゲノム配列を提出しました。と同時に、私たちは他の塩基配列もGISIADと呼ばれる遺伝子ライブラリーにアップロードしました。そのライブラリーは病原体を特定し、ワクチンを開発するため、または薬を審査するために政府や、世界中の科学者によって使われるものです」

 

また記者からの「ゲノムの塩基配列を終えたことで、あなたの仕事は終わったのですか」との問いかけに対し、次のように答えている。

 

「私たちが初期に行った作業は、病原体の特定の一部でしかありません。それによって私たちは遺伝情報を知ることができますし、それがどんな種類のウイルスなのかを知ることができますが、実際病原体の特定のためには、もう1つの重要なステップ、動物への感染実験が必要です。これらの実験は実際、『コッホの原則』(証明するためには動物に感染させて発症させなければならない)と呼ばれ、動物への感染実験を通してのみ、最終的にある種の病原体を確認でき、病気の主な原因と特定するものです。私たちには動物モデルがあり、素早く実験をするためにそれを使えたので、実際2月6日に遺伝子を組み替えたマウスを使い、動物の感染実験を終えたのです」

 

「その実験では、この動物がCovid-19に感染した人間と一致する肺炎症状をシミュレートできることが証明されました。その後私たちは、2月9日にアカゲザルの動物実験も終えました。2つの動物感染実験では共に、私たちが分離したコロナウイルスが原因不明の肺炎を引き起こすものであると証明されました」

 

その後、石正丽氏は動画において、2004年にコウモリのコロナウイルスの研究を始めたと説明。15年に及ぶ長年の研究の蓄積があり、今回の未知の肺炎の原因の理解や、新型コロナウイルスの分離やゲノム解析も同時に進め、それらの作業を短い期間で行えたと述べている。また透明性や協力に関しては次のように述べている。

 

「私たちの国際的な協力についての元々の目的は、世界中の保健機関と共に作業をすることでした。なぜなら存在するまたは現れた感染症に関する研究においては、国境はないと分かっていたからです。そのような作業は世界中の科学者や、開かれた透明性のある協力的な各国政府の力を必要とします。そしてこのような新しい感染症をコントロールし、防ぐためにお互いに協力する必要があるのです。そのため当初、私たちの目的は協力することだったのです。そして協力を通して、お互いにメリットを得られ、皆ができるだけ早く新しい感染症を理解できるのです。野外でのサンプル採取と同様、研究所での作業や、初期の警告モデルの構築も、異なった分野からの研究者を必要としているのです。ですから私たちは協力して成し遂げるために、異なったトレーニングの経験を積んできました。1つの小さな研究チームだけでは、そのような作業はできないのです」

 

さらに石正丽氏は「現在はサイエンスが政治と結びついて、科学を政治化してしまっていると思う」とし「その状況を残念に思う」と発言。最後に今後の研究について聞かれ、次のように述べている。

 

「基本的に私たちは以前の研究、例えばまだよく知られていない病原体を探すなどの研究を続けるつもりです。世界には実際、多くのタイプのコウモリや野生動物がいることが分かっています。私たちが発見した未知のウイルスは、実際は氷山の一角なのです。もし私たちがウイルスから人類を守り、新しい感染症(新型コロナ)の第2波を避けたいのであれば、自然にいる野生動物から運ばれたこれらの未知のウイルスを学ぶために、さらに先へ進まなければなりません。そして早い段階で警告を与えなければなりません。そうすれば私たちは未来の予防や管理のために、いくつかの薬、例えば検査や予防・治療のための試薬を備蓄できるに違いありません。これらのウイルスは、私たちが認めようが認めまいが、自然界に存在しています。もし私たちが研究しなければ、恐らくもう1つのアウトブレイクが起きるでしょうし、私たちはそのウイルスを知ることもできないでしょう」

 

新型コロナウイルスの発生源は武漢の研究所なのか、それともやはり海鮮市場なのか、まだ結論は出ていない。

 

ただ今年1月に、英医学誌ランセットに発表された中国科学者チームの論文では、最初の感染者と初期に感染が確認された41人のうちの13人が、ウイルス発生源とされる武漢の海鮮市場と繋がりがなかったことが明らかにされている。

 

はたして真相はどうなのか、明らかになる日が来ることを願う。(了)

 

出典元:CGTN:CGTN Exclusive: The story of COVID-19 told by a Wuhan lab expert(5/25)

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