恐竜の糞から見つかった新種の昆虫、ほぼ完全な状態で残っていた!
太古の時代に生息していた昆虫の化石が、恐竜の糞から、ほぼ完全な状態で見つかった。
2億3000年前のカブトムシ
その甲虫は、今から2億3000万年前に生息していたとみられる新種で、「Triamyxa coprolithica」と名付けられたという。
「Triamyxa coprolithica」は、スウェーデンのウプサラ大学の研究者らにより発見され、化石化した糞(コプロライト)から科学的に説明された初めての昆虫になるそうだ。
しかも見つかった「Triamyxa coprolithica」は、驚くほど損なわれていない状態で、ほぼ完全な形で残っていたとか。
ニューメキシコ自然史科学博物館の古生物学者であるのSpencer Lucas氏(今回の調査には携わっていない)は、次のように述べている。
「これは非常にエキサイティングな研究です。この研究は最先端のものであり、ここ10年でようやく解明された古生物学の全く新しい分野を開拓するものです」
触覚や足までも損なわれず
ウプサラ大学の古生物学者・Martin Qvarnström氏と研究チームは、コプロライトが本当に昆虫の遺体を保存できるかどうかを調べるため、約2億3000万年前の三畳紀のものとされるポーランドで発見された糞の化石を調査したという。
彼らは長さ約2cmのコプロライトの断片を選び、その試料全体にシンクロトロンの強力なX線ビームを照射。さらに照射しながらコプロライトを回転させることで、中身を3次元的にスキャンし、再現したそうだ。
その結果、体長1.4mmの昆虫が信じられないほど完全な状態で保存されているのを確認。頭部、触角、足などの断片も含まれていたことが明らかとなった。
この新種の昆虫は、体長約2.3メートルの嘴を持った恐竜の祖先である「シレサウルス・オポレンシス」が排泄したと考えられる糞から発見されたという。
そして研究者は、発見された昆虫が、湿潤な環境で藻類を食べて成長する小型の甲虫である「ミクソファガ」というグループに属する可能性が高いと考えている。
消化されずに残るとは考えられなかった
実はコプロライトは、世界中の博物館や研究機関のコレクションにも豊富に存在するが、これまでほとんどの科学者は、恐竜の糞という「記録が残されたカプセル」の中身を調査してこなかった。
というのも科学者たちは、昆虫たちが恐竜の消化器官を無事に通過し、認識できる形のまま残っているとは、考えられなかったからだ。
その代わり古生物学者たちは、昆虫の進化に関する情報を、「琥珀」や木の樹脂に閉じ込められたものから得ていたという。しかしそれらは地質学的にはそれほど古いものではなく、最も古くても1億4000万年前のものになるそうだ。(了)
出典元:Science:This ancient beetle is the first new species discovered in fossilized poop(6/30)