バイキングが西暦1021年には北米大陸に到達、カナダの遺跡で調査
北欧のスカンディナビア半島や、バルト海沿岸に住んでいたバイキングが、コロンブスよりも数百年前、すでに北米大陸に到達していたことを示す、研究結果が発表された。
カナダに到達していた可能性
その研究を行ったのは、オランダのフローニンゲン大学や、カナダの国立公園を管理する政府機関「パークス・カナダ」などの研究者たちだ。
彼らはカナダ、ニューファンドランド島にある国定史跡「L’Anse aux Meadows」で、バイキングが切り刻んだ3本の木片を分析したという。
その結果、1021年にはバイキングがこの地に到達し、占有していたとする証拠が得られたと、科学誌「Nature」に発表した。
これが本当なら、1492年に北米にたどり着いたとされるコロンブスより、数百年も前にバイキングが到達していたことになる。
金属の道具が使われた痕跡
研究者たちは、木片を分析するのに、放射性炭素年代測定法(生物に含まれる炭素量に基づいて年齢を推定する方法)を用いたという。
さらに研究者たちは、西暦992年に発生した巨大な太陽嵐に焦点を当てて調査。これは太陽から放出された巨大なエネルギーが大気中に炭素を追加するため、その期間、生物に含まれる炭素の量が急増するそうだ。
そしてバイキングが切り刻んだ木片には、木の年輪があるが、そのうちの1本が太陽嵐の痕跡と一致。さらにその後に29本の成長輪があったことから、この木片が太陽嵐の起きた西暦992年から29年後、つまり1021年に切り出されたと結論付けた。
また研究者によれば、すべての木片は明らかに金属製の道具で切り刻まれており、それは「特徴的なきれいな低角度の切り込み」になっていたという。しかもこのような道具は、当時、この地域の先住民族にはなかったと言われている。
研究者たちは論文の中で、西暦1021年は「人類の移動が地球を周った最初期の年」であり、1492年にバハマに進出したクリストファー・コロンブスよりも471年前にバイキングが北米に到着していたことを証明している、と述べている。
今回、初めて年代が明らかになる
実は以前から、1492年にコロンブスが新大陸を発見する前に、ヨーロッパ人が北米大陸に到達していたということは、指摘されてきたという。
そしてニュ―ファンドランド島の遺跡「L’Anse aux Meadows」が、以前からヨーロッパ人(バイキング)が存在してきたことを示す証拠だとされてきたそうだ。
しかし今までは明確な証拠がなく、今回の研究により、初めて正確な年代が明らかにされた。
「パークス・カナダ」によると、6000年前には、少なくとも5〜6の先住民族がこの地域にいたと考えられているという。
また2019年、研究者たちは「L’Anse aux Meadows」で先住民族の石器などが多数発見されたことを発表。バイキングと先住民族の間には、これまで考えられていたよりも多くの交流があったのではないかと考えているそうだ。
出典元:CBS:Vikings landed in North America more than 470 years before Christopher Columbus, new research shows(10/21)