宇宙に放り投げる方式のロケット打ち上げが、すでに成功していた
アメリカ・カリフォルニア州のロケット開発ベンチャー企業「SpinLaunch」は、先月、宇宙船を物理的に放り投げるというやり方での打ち上げ実験に成功した。
同社は米グーグルや航空機メーカーのエアバス社などから1億ドル(約115億円)以上の出資を受け、数年前から、このシンプルかつ画期的な打ち上げ方法の開発に取り組んで来た。
回転する腕がロケットを投げ上げる
今回の実験で成功した方法は、音速の数倍という速さで回転する1本の腕でロケットを投げ上げるというもの。十分な速度を得るために、回転する腕は円盤状のケースに納められ、その中は真空になっている。
同社のこれまでの取り組みについては、ほとんど知られていなかった。その理由について、CEOであるJonathan Yaney氏はこう説明している。
「プロジェクトがとんでもないものであればあるほど、地道に進めるのが良いと思うんです。表に出て喋って回るよりもね。実際に上手くいくということを、我々は証明しなければなりませんでした」
ニューメキシコ州に建設された発射台「SpacePort」は、実験用の3分の1サイズのもの。だがそれでも、高さは165フィート(約50メートル)、ニューヨークの自由の女神像とほぼ同じだそう。
円盤型の筐体の中にある腕は、モーターで高速回転する。今回の実験はスケールが3分の1だったため、最大パワーの20%しか使わなかったらしい。
投げることのメリット
従来のロケットは、打ち上げ時の推進力を得るための、大掛かりなエンジンと大量の燃料を使っている。そのため、ロケットの大部分がエンジンと燃料タンクで占められ、貨物のためのスペースが限られてしまう。
一方、物理的に投げ上げるというSpinLaunch社の方法だと、打ち上げのためのエンジンと燃料タンクは不要になり、船内に広いスペースを確保できる。これが大きなメリットになる。
現在、スペースX社などの宇宙開発企業では、ロケットの再利用が進められているが、SpinLaunch社のロケットも同様に再利用が可能だそう。(了)
出典元:Odditycentral:Innovative Company Uses Kinetic Energy to “Throw” Rockets Into Space(11/22)
出典元:CNBC:Alternative rocket builder SpinLaunch completes first test flight(11/9)
出典元:SpinLaunch