ゲノム編集技術を使い、オスだけ、またはメスだけのマウスを生み出すことに成功
イギリスの研究者らが、遺伝子を編集する技術を使い、性別を指定してマウスを生み出すことに成功した。
遺伝子を不活性化すること性別を選択
この研究を行ったのは、イギリスのロンドンにあるフランシス・クリック研究所と、ケント大学の科学者たちだ。
そもそも哺乳類の性別は、性染色体によって決まり、メスは両親から受け継いだ2本のX染色体があり、オスには母親から1本のX染色体、父親から1本のY染色体がある。
今回、研究者たちはゲノム編集技術を利用し、ある遺伝子を不活性化することで、「XX(メス)」または「XY(オス)」のマウスの胚が成長するのを防ぐことができたという。
これにより、メスだけ、またはオスだけを誕生させることが可能になったそうだ。
遺伝子編集分子を染色体に埋め込む
研究チームは、ゲノム編集技術「Crispr-Cas9」によって不活性化させる分子を2つに分割し、その半分を母親の染色体(X)に、もう片方を父親のX染色体またはY染色体に埋め込んだという。
このゲノム編集された分子は、半分になったものが一緒(対)になると、不活性化するため、その性別の子供が生まれてこない。
例えば父親の編集分子の半分がY染色体に埋め込まれた場合、半分の編集分子を含む母親のX染色体と結合させると、編集された分子が一緒になるため、できあがったXYのオスの胚は不活性化し、発達が妨げられることになる。
しかし同時に、この編集分子を父親から受け継いでいないメスの胚は、全て正常に成長する。こうすることで、研究者はマウスの性別を選択することに成功したという。(言葉だけでは難しいため、是非BBCの図を参照していただきたい)
不要なマウスの処分を防げる
この技術は今後、動物たちの福祉に役立つことになると見込まれている。
実際に研究所では、目的に沿わない性別のマウスは殺処分されているが、この技術を使えば、何十万匹もの不要なマウスの処分を防ぐことができるという。
またイギリスでは卵を産まないという理由で、淘汰されている数百万羽の雄鶏の殺処分も防げるそうだ。
このため現在イギリス政府は、畜産業界で遺伝子編集を使用することを認めるかどうか、検討していると言われている。(了)
出典元:BBC:Gene edited sex selection may spare animal suffering(12/4)