三畳紀における大量絶滅の原因、火山活動からのプロセスを提唱:東北大学
地球上では、これまで幾度となく生物の大量絶滅が繰り返されてきたが、中生代・三畳紀の大量絶滅の原因となった火山活動の研究が進められた。
三畳紀末の大量絶滅のプロセスを提唱
この研究を行ったのは、東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授(現:東北大学名誉教授)らの研究グループだ。
彼らは堆積岩の加熱実験を行い、比較的低い温度では二酸化硫黄が、高い温度では二酸化炭素がより多く放出されることを明らかにしたという。
また大量絶滅を記録した地層から発見された、加熱温度に制御されて生成する堆積有機分子の種類の変化から、火山活動が低温から高温へ移行したと推定。これらから三畳紀末の大量絶滅は次のプロセスで起きたことを提唱した。
●大規模火山活動のマグマが、比較的低温で堆積岩を加熱した結果、大量の二酸化硫黄が生成された。
●二酸化硫黄が成層圏に入り、硫酸エアロゾルを形成した。
●硫酸エアロゾルが太陽光を反射し、光合成阻害や地球寒冷化などにより生物の大量絶滅が起こった。
5回に及ぶ大量絶滅
そもそもこれまで地球上では、5回に及ぶ、生物の大量絶滅が起きている。(新しい順)
時代区分 | 年代 | 原因 |
中生代・白亜紀末 | 約6600万年前 | 天体衝突 |
中生代・三畳紀末 | 約2億年前 | 火山活動 |
古生代・ペルム紀末 | 約2億5000万年前 | 火山活動 |
古生代・デボン紀後期 | 約3億8000万年前~3億6000万年前 | 火山活動 |
古生代・オルドビス紀末 | 約4億4500万年前~4億4300万年前 | 火山活動 |
そして三畳紀末の大量絶滅では、それまで繁栄していたワニの先祖の爬虫類が絶滅。それ以降、恐竜の多様化が始まったという。
また三畳紀の爬虫類たちは、体も小さかったが、絶滅以降急速に大型化。以来、白亜紀末まで、巨大な恐竜が地上を支配することになる。
さらに、三畳紀の大量絶滅の原因は、超大陸パンゲアの分裂を引き起こした大規模火山活動であると考えられていたが、火山活動がどのように環境変動を引き起こしたかは不明だった。
今回の研究は、「Earth and Planetary Science Letters」の編集者に重要と判断され、特別に早く、1月12日付電子版に掲載されたという。(了)
出典元:東北大学:火山活動による地球寒冷化が恐竜の繁栄を導いた? 三畳紀末の大量絶滅の実態を解明(1/13)