オミクロン株「BA.2」は「BA.1」より重い症状を引き起こす可能性:東京大学他
先日、東京大学などの研究者により、オミクロン株の亜種「BA.2」に関する研究結果が発表され、CNNなどが伝えている。
健康に及ぼすリスクは高い可能性
この研究結果は、2月15日に「bioRxiv」において発表されたが、まだ独立した他の研究者らの査読を受けていない。
しかしその研究では、統計解析の結果、「BA.2」の有効再生産数は「BA.1(現在主流のオミクロン株)」の1.4倍で、感染力が強いことが判明したという。
また中和実験の結果、「BA.2」に対しては、「BA.1」と同様にワクチンによる体液性免疫が機能せず、特に「BA.2」の抗原性が「BA.1」と異なっていることが示されたそうだ。
さらにハムスターを用いた感染実験では、「BA.2」は「BA.1」よりも病原性が高いことが示され、これらを考え合わせた結果、「BA.2」が健康に及ぼすリスクは、「BA.1」よりも高い可能性があることが示唆された。
CNNによれば「BA.2」は、現在のオミクロン株に対して使われているモノクローナル抗体、例えばソトロビマブを含むいくつかの治療法にも耐性があることが分かっているという。
そして今回の結果でも「BA.2」には、現在使われている治療薬にも耐性がある可能性が示されたそうだ。ただし3回目のワクチン接種により防御力が回復し、感染後の発病が約74%軽減されるとも言われている。
もはやオミクロン株とも言えない?
米・オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックの微生物学部長ダニエル・ローデス博士は、今回の研究には参加していないが、研究結果を見て、次のように述べている。
「(BA.2は)人間から見ればBA.1より悪いウイルスかも知れないし、感染力が強く、もっと悪い病気を引き起こすかも知れない」
そもそも「BA.2」は、中国の武漢で発生したオリジナルの新型コロナウイルスと比較して、高度に変異しているという。
また、オリジナルのオミクロン株とは異なる数十の遺伝子変化があり、「アルファ」「ベータ」「ガンマ」「デルタ」の各変異株が互いに異なるように、オミクロン株とは異なるものとなっているそうだ。
今回の研究を行った東京大学のKei Sato氏は、これらの知見が「BA.2」をオミクロン株の一種と見なすべきではないことを証明しており、より厳密に監視する必要があると主張している。
ワシントン大学医学部のウイルス学者であるデボラ・フラー氏(研究には参加していない)も、今回の研究に目を通し、「新しいギリシャ文字を見ているようだ」と同意している。
「BA.2」は『ステルス・オミクロン』と呼ばれ、PCR検査でも特定は難しいとされているが、Sato氏はCNNに対して「BA.2を特異的に検出する方法を確立することが、多くの国々が最初にしなければならないことでしょう」と語っている。(了)
出典元:CNN:As BA.2 subvariant of Omicron rises, lab studies point to signs of severity(2/17)