マリ共和国の文化史を紹介するデジタル・ギャラリーを開設、古代文書も展示
アフリカの西部に位置する、マリ共和国。この国の文化を紹介するデジタル・ギャラリーが開設され、貴重な古文書も展示された。
アフリカの知識が詰め込まれた古文書
そのデジタル・ギャラリーとは「マリ・マジック」と呼ばれるもので、マリ共和国のさまざまな文化を収めている。
またそこには、数万点に及ぶ古文書も含まれているという。
その古文書は11世紀に書かれたもので、数学から占星術まで、何世紀にもわたるアフリカの知識と学問が詰め込まれているそうだ。
イスラム過激派から守るため密かに移送
実はこの古文書はマリ北部の街、トンブクトゥの図書館で大切に保管されていたのだが、2012年にイスラム過激派がマリ北部を支配した時、古文書はひそかに首都・バマコにある安全な場所に移送されたという。
そして2014年、古文書の移送に携わったAbdel Kader Haidara博士が、グーグルに古文書のデジタル化を呼び掛け、今回のバーチャルギャラリーのプロジェクトがスタートした。
そしてこれまで7年間、マリの伝統的な指導者や歴史家、デジタル考古学者が、マリの豊かな文化や知識が記された古文書をデジタル化して、保存するために懸命に取り組んできたという。
またプロジェクトチームは、何百ページにもわたるこれらの文書をデジタルで記録するだけでなく、オンラインで視覚的にアピールするための作業も行い、今回バーチャルギャラリーを完成させた。
アフリカ大陸の文化の中心地だった
ティンブクトゥの街は何世紀にもわたり、アフリカ大陸の文化の中心地であり、イスラム教の学問の中心地でもあったと言われている。
またユネスコによれば、15世紀から16世紀にかけて西アフリカにイスラム教が広まる際、ティンブクトゥのモスクは重要な役割を果たしたという。
そして現在、「マリ・マジック」では、初期のコーランや天文学、数学、地理学、生物学から音楽までのトピック、最大4万ページがオンラインで利用できるようになっている。
また古文書はもともと中世のアラビア語で書かれていたが、現在では英語、フランス語、スペイン語、現代アラビア語に翻訳され、より利用しやすくなっているそうだ。(了)
出典元:BBC:Timbuktu manuscripts: Mali’s ancient documents captured online(3/10)