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欧米で広がっている謎の小児肝炎、原因はアデノウイルスか?

欧米で広がっている謎の小児肝炎、原因はアデノウイルスか?
flickr_Yale Rosen

現在、原因不明の小児肝炎が欧米で広がっていると言われているが、その原因についてイギリスの保健当局が見解を述べた。

 

アデノウイルス株の「F41」型か

 

現在、一部の幼児の間で謎の肝炎が流行っており、世界的にも169の症例が確認されているという。

 

またイギリスだけでも114人の子供が発病し、10人が肝臓移植を必要としているそうだ。

 

この事態を受け、イギリスの保健安全局(UKHSA)は、この小児肝炎の原因が、アデノウイルス株の「F41」と呼ばれる型である可能性が高い、との見解を示した。

 

アデノウイルスは、風邪の原因となるウイルスで、呼吸器や目、腸、泌尿器などで重い症状を引き起こすと言われている。またアデノウイルスには多くの型があり、免疫が付きにくく、何回も感染することがあるという。

 

下痢や吐き気などの胃腸炎の症状

 

この小児肝炎を発症した子供のほとんどは5歳以下で、下痢や吐き気などの胃腸炎の症状を示しており、その後黄疸や皮膚と目の黄変(肝臓が弱っているサイン)が起きたそうだ。

 

UKHSAのミーラ・チャンド博士は、次のように述べている。

 

「我々の調査によって集められた情報は、この小児における突然の肝炎発症の増加が、アデノウイルス感染に関連していることをさらに示唆しています。しかし、我々は、他の原因も徹底的に調査しています」

 

アデノウイルスへの感染が遅れている?

 

現在、イギリスの研究者や臨床医は、アデノウイルスの遺伝子構成に変化があったかどうか、また肝臓の炎症が起こりやすくなったかどうかを調査しているという。

 

また小児肝炎が増えているもう1つの原因として、パンデミック時の制限により、幼い子供たちがアデノウイルスに初めて曝される時期が少し遅くなり、一部の子供たちの免疫反応が “より活発 “になった可能性が指摘されているそうだ。

 

リバプール大学の感染症専門家であるカルム・センプル教授によれば、アデノウイルスは新型コロナの大流行時には、事実上消滅したが、現在では急増し、復活しているという。

 

またセンプル教授は「新型コロナ感染がアデノウイルスと共に肝臓の問題の引き金になっているのではないか、といった他の仮説も検討されている」と述べている。

 

ただし新型コロナワクチンとの関係はないらしい。イギリスで小児肝炎が確認された10歳未満の患者は、いずれもワクチン接種を受けていないことが判明しているという。(了)

 

出典元:BBC:Adenovirus probable cause of mysterious child hepatitis(4/25)

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