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死んだブタの臓器が復活、数時間後に部分的に機能を回復

死んだブタの臓器が復活、数時間後に部分的に機能を回復
flickr_Nick Saltmarsh

アメリカで、死んだブタの臓器が数時間後に部分的に蘇生したとして、今後医学に変革をもたらす可能性があると期待されている。

 

数時間後に機能し始めた

 

この研究を行ったのは、イェール大学の研究者らだ。

 

そもそも心臓が停止すると、体では酸素と生存に必要な栄養素が欠乏する。その結果、臓器は膨張して、血管は崩壊、体内臓器の構成要素である細胞が死に始める。

 

この細胞死は急速に進行し、永久に続くと考えられていたが、イェール大学の研究者は死後1時間のブタで、ダメージを受けた細胞の一部の機能を元に戻すことに成功したという。

 

イェール大学のネナド・セスタン教授は、次のように述べている。

 

「我々は、死んだはずの複数の重要な臓器にまたがる細胞のいくつかの機能を回復させることができます。これらの細胞は、機能しなくなるはずの数時間後に機能していたのです」

 

過去にはブタの脳で成功していた

 

実はこの研究チームは2019年に、ブタの脳において同様の成果を得ていたという。

 

その時は、「OrganEx」と呼ばれる技術を使ったのだが、今回は脳だけでなく、ブタの全身で使えるようにしたそうだ。

 

「OrganEx」は心臓の拍動を模倣して、体内の液体をリズミカルに送り出す装置のこと。

 

この場合、体中に酸素を運ぶための合成血液を使うのだが、これは凝固しないため、ブタの体内で崩壊した血管内を移動させることができるという。

 

また細胞が死滅する化学過程(アポトーシスと呼ばれる)を妨げ、免疫系を沈静化させるために、13種類の化合物からなる修復カクテルを使ったそうだ。

 

心臓を止め、「OrganEx」に接続

 

今回の実験では、倫理的な承認を得てから約100匹のブタが使用され、研究者はブタたちに深い麻酔をかけ、心臓を止めたという。

 

死んだブタたちは1時間後にOrganExシステムに接続され、6時間にわたって修復カクテルを投与され、麻酔は実験中ずっと維持されたそうだ。

 

6時間後、豚の心臓、肝臓、腎臓などの臓器を解剖したところ、部分的に機能が回復していることが確認された。

 

心臓では電気活動が回復し、一部の心筋細胞は収縮するようになったという。しかし、臓器は死ぬ前と同じレベルでは機能していなかった。

 

研究者のZvonimir Vrselja博士は、次のように述べている。

 

「私たちは、分子レベルで実際に細胞の修復を開始できることを実証しました。私たちは、細胞が死なないように説得することができるのです。ある時、豚の頭と首が自然に動き出しました。これは運動機能が回復している証拠かもしれませんが、さらに調査が必要でしょう」

 

この技術を人間に応用すれば、移植可能な臓器の数を増やし、医師が命を救うための時間を増やすことができるとも考えられている。(了)

 

出典元:BBC:Pig organs partially revived hour after death(8/3)

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