テフロン加工のフライパンから、どのくらいのプラスチックが出ているのか?
科学者たちが、テフロン加工のフライパンから放出されるプラスチックの量を調査し、その研究結果が発表された。
割れたコーティングから230万個
この研究を行ったのは、オーストラリアのフリンダース大学などの研究者らだ。
彼らは、テフロン加工のフライパンや鍋を使って、調理したり洗ったりする際に、小さなプラスチックの粒子がどのように剥がれ落ちる可能性があるかを評価したという。
その結果、割れたコーティングから230万個のマイクロプラスチックとナノプラスチックが放出されていることが確認されたそうだ。
この研究結果は、科学誌「Science of the Total Environment」に発表されているが、それによれば、テフロン加工の鍋の表面に小さなひび割れが1つできただけで、約9100個のプラスチック粒子が放出される可能性があるという。
「フォーエバーケミカル」
そもそもテフロンとは、ポリテトラフルオロエチレンという化学物質(フッ素樹脂)の商品名のこと。炭素とフッ素だけを含む合成ポリマーで、最も広く使用されている化学物質の1つとされている。
しかもこれは、環境中で容易に分解されず、数世代にわたって持続的な問題を残すことから、「フォーエバーケミカル(永久に残る化学物質)」と呼ばれているそうだ。
またテフロンは「PFAS(パー及びポリ・フルオロアルキル物質)」の仲間とされ、「PFAS」は「ノンスティック調理器具(こびりつきを防ぐ調理器具)」や「防水化粧品」「消火剤」など、油脂に耐える市販品によく含まれる化学物質の一種で、1940年代から商業的に使用されているという。
これまでの研究でも、この化学物質の使用は、免疫力の低下、ホルモンの乱れ、さまざまな種類のがんのリスク増加など、いくつかの健康障害に関係していると言われてきた。
今回の研究論文の共著者であるオーストラリア・ニューカッスル大学のCheng Fang氏も「PFASが大きな懸念材料であることを考えると、食品に含まれるこれらのテフロン微粒子は健康上の懸念材料である可能性があります」と述べている。(了)
出典元:INDEPENDENT:Scientists estimate how much toxic microplastic comes off Teflon-coated pans during cooking(11/1)