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黒死病の主要な宿主がネズミではない可能性、新たな研究が示唆

黒死病の主要な宿主がネズミではない可能性、新たな研究が示唆
flickr_Berit Watkin

ヨーロッパを中心に猛威を振るい、多くの死者を出した「黒死病」。この拡散の原因がネズミではない可能性が、新しい研究で指摘された。

 

ノミから野生のネズミに感染したとの説

 

「黒死病(ペスト)」とは、1347年から1353年にかけてヨーロッパで発生し、19世紀までに何百万人もの死者を出した、恐ろしい伝染病だ。

 

ペストの原因菌としては、エルシニア・ペスティスという細菌が知られており、この病原体を持つノミから野生のネズミに感染し、それによってヨーロッパ大陸に拡散されたとする研究結果が発表されてきた。

 

しかし最新の研究では、ヨーロッパにおけるペストの主要な宿主として、野生のネズミの役割に疑問を投げかける結果が導き出されたという。

 

長期間、ペストが生存できなかった?

 

今回の研究では、ノルウェーのオスロ大学の研究者を含む科学者たちが、中国に生息するネズミを中心としたペストの保菌宿主に関連する環境因子を明らかにしたという。

 

その後、研究者たちはこの結果と、アメリカ西部にいる活動的な宿主とを比較。モデル化手法を用いて、現代および歴史的な文脈におけるヨーロッパのペストの宿主を特定したそうだ。

 

その結果、当時のヨーロッパの土壌組成とネズミの多様性の低さが、ペストの長期的な滞留に不利であった可能性が示唆された。

 

つまり当時のヨーロッパの環境条件では、ペストが長期にわたって持続的に動物の体内に滞留して生存することは不可能であっただろうと推測している。

 

繰り返し持ち込まれたことが原因か

 

実際にこの研究では、ヨーロッパの地理的エリアの約0.6%だけが「ペストの宿主に適した条件」であったと推定されたそうだ。

 

そのエリアには、スペイン、ポルトガル、南フランス、イタリア西部/中部、ギリシャ東部の一部が含まれるという。

 

しかし科学者は、ヨーロッパを襲ったペストの大流行が、アジアの感染源からペストが再導入されたことによるものである可能性を示唆。研究論文にも、次のように書いている。

 

「我々は、ヨーロッパにおける主要な宿主としての野生げっ歯類の重要性に、疑問を持っています。エルシニア・ペスティスはヨーロッパに繰り返し持ち込まれ、地域の宿主の中で中期的に生き延びてきた可能性があります」(了)

 

出典元:INDEPENDENT:Rats may not have caused the Black Death, study suggests(1/19)

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