ゾウアザラシの睡眠時間はわずか2時間、脳の活動記録で明らかに
野生のゾウアザラシの脳の調査が行われ、睡眠時間が非常に短いことが明らかになった。
採食移動のアザラシを追跡
この研究を行ったのは、アメリカ・カリフォルニア大学サンタクルーズ校の海洋生態学者である、ダニエル・コスタ教授が率いる研究チームだ。
コスタ教授は25年以上にわたって、カリフォルニア州にある国立公園「アニョ・ヌエボ保護区」でゾウアザラシを調査してきたという。
また教授らは、最先端のタグをゾウアザラシに取り付け、彼らが8カ月かけて北太平洋に向かう採食移動の間の動きと潜水行動を追跡してきたそうだ。
アザラシの脳波を記録
今回の調査では、13頭の若い雌のアザラシにネオプレン(合成ゴム)製のヘッドキャップを装着。
脳波を記録できるセンサーを頭部に固定し、アザラシの動きを追跡するために、時間深度記録計、加速度計などの機器も使用したという。
その結果、ゾウアザラシは深い潜水中に短い昼寝を繰り返し、毎日わずか2時間しか眠っていないことが明らかになった。
下降しながら深い眠りに入る
コスタ教授によれば、研究者らは、アザラシが泳ぐのをやめてゆっくりと沈む、「ドリフトダイブ」と呼ばれる潜水中に眠っているに違いないと思っていたが、実際にはわかっていなかったという。
しかし今回、ゾウアザラシが、30分程度の深い潜水中に10分程度の睡眠をとり、夢を見ている間に下へ下へと下降し、時には海底で横になって昼寝をすることも判明したそうだ。
またアザラシが100回以上潜水する時のデータを収集し、アザラシが海底に下降しながら、徐波睡眠(slow-wave sleep)と呼ばれる深い睡眠段階に入り、その後急速眼球運動睡眠(レム睡眠)に入ることも分かったという。
現在、哺乳類の中で最も睡眠時間が短いのはアフリカゾウとされているが、ゾウアザラシもそれに匹敵することが明らかになったそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Elephant seals sleep for just two hours a day, deep dive research reveals(4/20)