イギリスの研究チームが、癌を正確に識別できるAIモデルを構築
医師、科学者、研究者が、癌を正確に識別できる人工知能モデルを構築し、より診断を迅速化し、患者を治療へと導くことが期待されている。
人間の目では発見できない情報を抽出
このAIを設計したのは、イギリスの「ロイヤル・マースデンNHS財団トラスト」や「ロンドンがん研究所」、「インペリアル・カレッジ・ロンドン」の専門家だ。
研究チームは、このAIアルゴリズムを開発するために、大きな肺結節を持つ患者約500人のCTスキャンを使用。
その結果、人間の目では容易に発見できない医療画像から、重要な情報を抽出することができたという。
「インペリアル・カレッジ・ロンドン」のベンジャミン・ハンター博士は、次のように語っている。
「将来的には、リスクの高い患者に着目して、より早い介入を行うことで、早期発見を改善でき、また癌治療を成功に導けることを期待しています」
正確性を検証
また研究チームは、AIモデルが癌性結節を正確に識別できるかどうかも検証。AUC(area under the curve)と呼ばれる指標を用いて、モデルがどの程度効果的に癌を予測できたかを確認した。
AUCの指標は、0.5 – 1.0の値をとり、1.0から0.9の場合は高い正確性、0.9から0.7までは中程度の正確性、0.7から0.5は低い正確性を示すという。
実験の結果、AIモデルは0.87のAUCで各結節の癌リスクを特定することができたそうだ。一方、現在臨床で使われている検査の「ブロックスコア」では0.67となっている。
また、もう一つの検査である「Herderスコア」でも、0.83のAUCを示し、AIが同程度の正確性を示したという。
高リスク患者を特定
また、このAIモデルは、現在中程度のリスクと判断されている癌の異常増殖の患者について、医師がより迅速に判断するのに役立つかもしれない、とも言われている。
というのも「Herder」と組み合わせた場合、AIモデルはこのグループの高リスク患者を特定することができたからだ。
その結果、癌であることが確定した結節のうち、22個中18個(82%)に対して、早期介入を提案することができたという。
ただし研究者らは、この研究がまだ初期段階であることを強調。このAIモデルを医療システムに導入するためには、さらなる検証が必要だと述べている。(了)
出典元:The Guardian:New artificial intelligence tool can accurately identify cancer(4/30)