木星の衛星「エウロパ」の海に、生命に欠かせない炭素を発見
木星の衛星の海に、生命にとって欠かせない成分、炭素が含まれていることが、研究者によって明らかにされた。
ジェームズ・ウェッブ望遠鏡で観測
研究者たちは、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の近赤外線観測器を用いて、木星の衛星「エウロパ」の表面にある、二酸化炭素の分布をマッピング(地図化)したという。
その結果、「Tara Regio」と呼ばれる1800平方キロメートルに及ぶ地域に、二酸化炭素を多く含む場所を特定。これにより二酸化炭素の氷が、分厚い氷の下にある塩分を含んだ海から生まれた可能性が示されたそうだ。
「エウロパ」の海は太陽系で地球外生物を探すのに最も有望な場所と考えられており、今回の発見により、その期待がさらに高まった。
アメリカ、テキサス州にあるサウスウエスト研究所の地球化学者で、今回の研究論文の共著者であるクリストファー・グレイン博士は、次のように語っている。
「これは大変なことで、私はとても興奮しています。エウロパの海に生命が実際に存在するかどうかは、まだわかりません。しかし、この新たな発見は、エウロパの海が現存する生命体の生息に適していることを示す証拠となります。その環境は、宇宙生物学の観点からも魅力的です」
There’s carbon on Jupiter’s moon Europa—and it most likely came from an ocean below the surface! https://t.co/JHZpi16cwq
In October 2024, @EuropaClipper will launch to take a closer look. You can send your name to space with it by signing up here: https://t.co/PT7fCIfkZy pic.twitter.com/RoHpe9AWxU
— NASA (@NASA) September 21, 2023
海から噴出したものか、不明だった
「エウロパ」の幅は2000マイル(約3219km)で、地球の月よりもわずかに小さい。
その表面温度は、マイナス140℃をめったに超えず、生命体が存在するならば、彼らは木星からの放射線など、いくつかの極端な環境に適応しなければならない。
しかし、「エウロパ」の氷の表面から約16km~24km下に広がる、深さ64kmから160kmの海により、この衛星が生命探査の有力候補になってきたという。
そして深海が生物にとって居住可能かどうかは、炭素のような生物学的に必須な元素を含む化学的性質にかかっていたそうだ。
これまでの研究では、「エウロパ」の表面に固体の二酸化炭素の氷が存在することが確認されているが、これが地下の海から噴出したものなのか、隕石の衝突によって衛星の表面に運ばれたものなのかは明らかにされていなかったという。(了)
出典元:The Guardian:Scientists excited to find ocean of one of Jupiter’s moons contains carbon(9/21)