燃えた古代ローマの巻物、AIを使って単語の抽出に成功
燃えて炭化した古代の巻物から、AIの技術を使って文字が抽出された。
火山の噴火で炭化した巻物
その巻物は、古代ローマの町、ヘルクラネウムの別荘などにあったものとされている。
紀元79年、イタリアのカンパーニャ州にあるベスビオ火山が噴火した時、ヘルクラネウムの町は灰に覆われ、何百冊もの古代の巻物が焼け、炭化してしまったという。
しかしケンタッキー大学のコンピューター科学者であるブレント・シールズ教授らが、AIを使って、炭化した巻物から判読可能な単語を抽出することに成功した。
カエサルの義父の所有物か?
その未開封の巻物は、現在パリのフランス学士院が所蔵するコレクションの1つとされている。
しかしもともとは、ローマ帝国の上級政治家、恐らくユリウス・カエサルの義父であるルキウス・カルプルニウス・ピソ・カエソニヌスが所有していたと考えられ、彼の邸宅の図書館から発見されたという。
シールズ教授と彼の研究チームは、まず2つの巻物と3つのパピルス断片の3D X線画像を数千枚撮影。また、古代のインクがパピルスの構造に与える微妙な変化に基づき、巻物の文字を読み取るように訓練した人工知能プログラムも開発したという。
さらにコンピューター。サイエンスを専攻する学生らが、巻物の1つにある同じ古代ギリシア語を独自にヒットさせるよう、検索プロセスを改良。これにより「πορφύραc」、つまり「紫」を意味する言葉を発見したそうだ。
また現在は、最大10文字を含む巻物の3行が読めるようになり、今後もさらに多くの文字が読める見込みだとされている。
抽出された言葉が何を表現しているのかは、まだ不明だが、「王族」や「富」「嘲笑」といった言葉を連想させるものだという。
古代から現存する唯一の図書館にあったものとして、ヘルクラネウムの巻物には絶大な関心が寄せられているそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Researchers use AI to read word on ancient scroll burned by Vesuvius(10/12)