あるカップルがフランスの“城”を宿泊施設として貸し出すため購入、修復作業を進める
ルネッサンス様式の豪壮な“城”に住むだなんて、おとぎ話の世界ではあることかもしれないが、現実ではそうもいかない。
しかしフランスでそんな夢のような話を実現させてしまった、若いカップルが話題となっている。
“城”を購入し宿泊客に貸し出すビジネス
映画にでも出てきそうな美しい城を“新居”として購入し話題となっているのは、イギリス人の麻酔科医Erin Choaさん(女性:31)とフランス人エンジニアのJean-Baptiste Goisさん(男性:31)のカップルだ。
2010年にスコットランドの首都エディンバラで出会い交際を続け、ついに婚約にまで至った二人は、Goisさんの出身国であるフランスで生活を営んでいくことを望んできた。
けれどもイギリス人のChoaさんのフランス語力はフランスで医師として働いていけるほどのレベルには達しておらず。そこで二人で思い付いたのが、物件を購入して宿泊客に貸し出すというビジネスだった。
これについて「フランスでは(イギリスよりも)はるかに大きい物件を購入し、夢のようなライフスタイルを送ることができるということに、ほどなく気付き、決意を固めたんです」と語るChoaさん。
しかし二人のアイデアは、これだけには留まらなかった。
「その後、私たちのアイデアは、地域のコミュニティに貢献したりウェディングパーティやプライベートイベントを開催するため、国外の市場をも惹き付けるようなイベント会場を作り上げる、といった大きなものへと膨らんだんです」
そうと決めたChoaさんらはそれにふさわしい物件探しに着手し、10件以上もの物件を見学。
そして昨年7月、2人はフランス西部ヴァンデ県郊外に位置するルネッサンス様式の城「Château de Bourneau」を68万ユーロ(約8500万円)で購入することとなった。
カップルはChâteau de Bourneauに決めた理由について、“一目で気に入った”としている。
廃墟のような状態からの修復作業
1789年まで人が暮らしたという中世都市の遺跡の上に建てられたChâteau de Bourneauは、フランス革命の最中には放棄された状態に。
その後19世紀になり再建が行われ、1970年代にはベトナムやカンボジア、ラオスといった東南アジア諸国からの難民を受け入れたこともあったという。
しかし購入した当時の城は30年以上にもわたり放置されてきたため、廃墟のような状態と成り果てていた。
そこでChoaさんらは自らの手で修復作業を行うことを決意。一日14時間以上作業を行うこともたびたびあったという。
「ここにはまだ6カ月ほど住んだだけですが、これまでのところは、過去30年間ここで行われてこなかった城の維持作業に専念しています」というChoaさん。
その作業は、掃除されてこなかった下水管の掃除、堀から地下室への水漏れの対処、腐った窓枠や水漏れする屋根の修復、さらには庭の整備とやるべきことは山ほどあるようだ。
そのような修復作業に加え、城を宿泊客に貸し出すためには改築をも行わねばならない。
しかしChoaさんらは“ハネムーン・スイート”の設置作業を終え、次なるスイートルームの設置計画を行っているという。
古くから残る城を改修し、宿泊施設として貸し出すという若きカップルのビジネス。城の修復が完了したらいつか宿泊してみたいものだ。(了)