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抜け出せない負の連鎖…ドイツにおける売春のあまりに過酷な実態が明らかに

抜け出せない負の連鎖…ドイツにおける売春のあまりに過酷な実態が明らかに
Pixabay

性産業といえば、日本においても貧困にあえぐ女性が過酷な環境での労働を強いられる、という暗いイメージが付きまといがちだ。

 

しかしドイツのニュースサイト、Deutsche Welleが明らかとしたドイツにおける性産業の実態は、日本のそれよりもさらに過酷なものだ。

 

Deutsche Welleが伝えた、ドイツにおける性産業の実態をかいつまんでお伝えしよう。

 

一日1万6600円の家賃のため一晩で10人を相手に

 

「私が耐えられるのはそれだけ(の数)です」

 

こう語るJuliaさんは、一晩で10人程度、多い時で14人もの客を相手にしたという。

 

スイス、フランス、ギリシャ、そしてドイツと、国境を越え様々な場所で売春を行ってきたという彼女は、今年の3月10日まで、約10年にもわたって売春婦として働いてきた。

 

しかしJuliaさんが売春婦としてドイツで働いていた際に、最も恐れていたのは仕事そのものでも、相手にしてきた客でもない。

 

それは、一日130ユーロ(約1万6600円)の売春宿の“家賃”が払えなくなることだった。

 

その売春宿で住み込みで働いていた彼女は、毎日の“家賃”を払うため、たとえ具合が悪い日であっても休みなく働き続けなければならなかった。

 

しかしいくら稼いだところで“家賃”は嵩み、Juliaさんは毎月合計4000ユーロ(約51万2300円)もの大金を支払い続けてきたという。

 

Pixabay ※写真はイメージです

福祉の恩恵にあずかれず負の連鎖に

 

一方、売春婦として働き始める以前から、Juliaさんは性産業で働くことの過酷さをわかってはいたつもりであったと言うが、その実態は想像したよりも遥かに過酷であったという。

 

ほぼ毎晩過酷な勤務を行っていたにも関わらず、彼女は自分自身と二人の息子のため、ほとんど貯金することができなかったのだ。

 

さらに仕事を辞めるのと前後し、Juliaさんは深刻なパニック障害にも悩まされるようになり、時には不安を解消するために薬物にも手を出したという。

 

それだけではない。

 

これまでドイツで税金を支払ってきていないJuliaさんは、ドイツで生活保護などの福祉の恩恵にあずかることができないのだ。

 

そのようなこともあってか、売春婦としての仕事を一度始めてしまったらそれから抜け出すことができず、負の連鎖に陥っていく女性が多いようだ。

 

Pixabay ※写真はイメージです

 

十分に機能しない性産業従事者への支援

 

他方で、性産業に従事する女性のため、このような劣悪な労働環境を改善する動きも存在してはいるものの、十分に機能しているかと言われれば疑問符が付くのが実態だ。

 

ドイツで売春婦など性産業への従事が、公式に職業として認められたのは2002年のこと。

 

これにより、理論上は性産業に従事する人も社会保険に加入することが可能となってはいる。

 

また2017年には、売春婦などとして性産業に従事している人を保護するため、規制を強化する法律も制定されている。

 

しかし実際のところ、社会保障の恩恵を受けることができているのは、ごく一部の性産業従事者に留まるという。

 

さらに性産業に従事する女性の自立を促すための民間組織によると、売春婦としての仕事を辞め負の連鎖から抜け出すことができる女性がいる一方、新たに性産業への従事を開始する女性はとめどなく現れるとのことだ。

 

このような現状を変えるため、民間組織の中には性産業そのものを禁止させようという動きもあるというが、多くのハードルを乗り越えての実現は現実的に厳しそうだ。

 

Pixabay ※写真はイメージです

貧困により性産業に従事することを決意する女性たち

 

しかしなぜ多くの女性が性産業で働く道を自ら選択してしまうのか。

 

その背景にあるのは貧困だ。

 

約10年という長期にわたり売春婦として勤務し続けてきたJuliaさんの場合、性産業で働くことを決意した理由は「子供に良い暮らしをさせたかったから」。

 

Juliaさんは14歳の頃一人目の子供を出産し、学校を中退。その後20代前半に至り、性産業で働くことを決意したという。

 

一方、ドイツで性産業に従事する人の最も多くを占めるのは、ルーマニア人とブルガリア人だ。

 

やはりルーマニア出身のJuliaさんは、売春婦として働くようになり、ルーマニアで稼いだ額よりも多くの額を母国へと送金することができたと語る。

 

ちなみに欧州委員会による2016年のデータでは、ルーマニア人の平均月収はわずか480ユーロ(約6万1400円)ほどという。

 

Pixabay ※写真はイメージです

 

売春婦を辞めた現在のJuliaさんは、清掃業でのパートタイムの仕事に従事している。

 

そんな彼女が語る将来の夢は、ドイツ語の授業を受け、介護の仕事に就く、あるいはネイルサロンで働くことだ。

 

それだけではなく、ありのままの彼女を愛してくれる男性が現れることをも期待しているという。

 

僅かな手取りで過酷な労働を強いられるドイツの売春婦たち。今後さらなる法律改正が進み、彼女らの生活が改善することを期待すると共に、このような業界へと足を踏み入れる女性が減ることを願うばかりだ。(了)

 

出典元:Deutsche Welle:Inside the ‘battery cage’: Prostitution in Germany(6/18)

出典元:Deutsche Welle:Germany introduces unpopular prostitution law(2017/7/2)

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