アイス・バケツ・チャレンジが広まるきっかけとなった男性が、病気で亡くなる
3年前に世界中で行われたアイス・バケツ・チャレンジ。その広まるきっかけとなった男性が先日亡くなった。
14年前に筋力が低下する病気と診断される
その男性とはアメリカのニューヨーク州、Pelhamという街に住むAnthony Senerchiaさん。彼は14年前に運動神経疾患とされる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断され、以来上半身の筋力が低下した状態で苦しんできたという。
彼は妻のJeanetteさんと9歳になる娘のTayaさんに支えられ闘病生活を続け、2014年にはアイス・バケツ・チャレンジを広めるきっかけとなった人物として、世界中から注目を浴びることに。
しかし11月25日、Anthony さんは「筋萎縮性側索硬化症」によって、ついに帰らぬ人になってしまった。享年、46歳だった。
いとこから指名された妻がチャレンジ
彼がきっかけとなって広まったアイス・バケツ・チャレンジとは、氷の入った水を被り、次にそれを行う人物3人を指名するというもの。
指名された3人は、ALS協会に100ドル(約1万1200円)を寄付するか、同じように冷たい水を浴びるか、選ばなければならない。
これは、まだあまり知られていなかったALSという病気に対する認知を拡大し、ALS協会への寄付を募り研究に役立たせることが目的だったが、やがて社会現象として広まり、世界中の有名人なども数多く参加した。
このチャレンジで最初にALSについて言及したのはプロゴルファーのChris Kennedy氏とされている。彼はその後、いとこであるAnthonyさんの妻、Jeanetteさんを指名。
彼女は当初、100ドルを寄付する予定だったが、その後自ら水をかぶることを選択。その様子をフェイスブックに投稿し、夫のAnthonyさんとともに病気についての理解を訴えた。
するとその投稿が、同じように病名を広める運動をしていたALS患者のPete Fratesさんのネットワークともつながり、徐々に拡散していく。
そして2014年には数百万の人々がアイス・バケツ・チャレンジを行い、ALS協会にも1億1500万ドル(約129億円)の寄付が寄せられたという。
医者の予想を裏切り、10年長く生きる
妻のJeanetteさんは、挨拶の中で次のように語っている。
「Anthonyの前向きな姿勢や病気と闘う態度は、医者が予想した余命を裏切り、10年も長く生き続けることにつながりました。もし、Anthonyに尋ねたら彼は、それは娘Tayaへの愛と、いつまでも一緒にいたいと願う気持ちが原因だと述べたでしょう」
「病気との戦いにおいて、彼は前向きな姿勢を維持し続けました。彼だったらこう言うでしょう、大切なのは私たちが人生から何を得られるかではない。私たちが他の人々に何を与え、何を返せるか、そのことが最終的に自分たちを規定することになる、と」
つらい病気になっても最後まで生き抜くこと、その姿勢を貫くことに本当の生きる意味があるのかもしれない。(了)
出典元:METRO:Man who inspired ice bucket challenge dies aged 46(11/30)