ブラジルの奥地で、少数部族の生き残りと思われる人物の姿が撮影される
少数部族を保護する団体が、唯一の生き残りと思われる男性の姿を撮影し、注目を集めている。
仲間は全員殺された?
その動画はブラジルの少数部族を保護する政府系機関「FUNAI」が撮影したもので、そこには木を切る部族の男性の姿が映っていた。
この男性は現代社会との接触を拒否しているのだが、その理由は部族の仲間が全員殺されたからと考えられているという。
1990年以降、ブラジル東部にある土地に侵入してきた牧場主や入植者らが、銃を持った人間を雇い、男性の部族は彼を残して全て殺されたとみられているそうだ。
植物を植え、狩りをし、小屋を建てる
この男性の住居跡も見つかっており、彼がコーンやキャッサバ、パパイヤ、バナナなどの木を植えていることや、狩りを行っていることも明らかになっているという。
男性は鋭い竿のようなものを使って深さ2mの落とし穴を掘り、それを使い獲物を捕獲し、食料にしているそうだ。
また男性は藁ぶき屋根の小屋を作り、恐らく敵が侵入してきても隠れられるよう、部屋の中にも穴を掘っていたとか。
保護機関の予算が削減されてしまう
「FUNAI」は、捨てられて壊された住居後を発見した後、その小屋の形などから、1990年にはこの男性の存在には気づいていたという。
そして男性はこれまでも銃を持った男たちにターゲットにされてきたが、「FUNAI」が執行した男性の領地を守る法令のおかげで、現在まで生き延びることができているそうだ。
しかし、この地域が非常に危険な場所の1つで、10月の大統領選挙の最中にも問題が増加する可能性があったにも関わらず、「FUNAI」の予算は大幅に削減されてしまう。
男性の生存を証明する動画
このような状況において、今回の動画は非常に重要だと考えられている。
それまで「FUNAI」は男性の土地を守る規制を維持するためには、彼が生き延びていることを証明しなければならなかったという。
さもなければ、この土地を囲んでいる牧場主たちが、素早く移動し、男性の土地を奪うことになっていたと考えられている。
「FUNAI」のAltair Algayer氏は次のように語っている。
「私たちの誰もが知らず、部族の残りの人々も含めてほぼ全てを失った男性は、自身が生き延びていることを証明しました。そして今も私たちの接触を拒んでいます。(ただ)私は彼が接触するよりも、今のままのほうが暮らし向きはいいと思っています」
また同じく彼らの保護のためロビー活動を続けていた、Survival InternationalのStephen Corry氏も次のように述べている。
「未接触部族は、遠い過去の原始的な遺物ではないのです。彼は今も、ここで暮らしているのです。彼らは私たちと同時代の存在であり、人類の多様性の重要な一部なのです。しかしもし彼の領地を守られなければ、彼らは破滅的な状況に直面するでしょう」
少数部族を救う唯一の方法は世論の大きなうねりとされ、それだけが強力な農業関連産業に対抗し、彼らの生き残りに賛成する人の割合を互角にさせることができると言われている。(了)
出典元:Survival International:Amazing new footage of last survivor of Amazon tribe(7/20)