マレーシアの新聞が同性愛者を見分ける方法を掲載、多くの批判が集まる
マレーシアの新聞が、同性愛者を見分ける非合理的な方法を紙面に掲載し、批判が集まっている。
ゲイの人は男性を見るためジムに通う??
同性愛者を見分ける方法を紙面に掲載したとして批判が集中しているのは、マレーシアの日刊紙「Sinar Harian」だ。
Antara tajuk utama Sinar Harian Edisi Johor esok: "LGBT: Kerajaan perlu tegas", “Penyokong perlu profesional: TMJ” dan “Tak serik!”. Dapatkan naskhah anda. pic.twitter.com/2TSGmGff7p
— Sinar Harian (@SinarOnline) February 19, 2018
同紙は箇条書きで、同性愛者に特有の見た目や行動を紹介。
ゲイの男性は髭を好み、体を鍛えるためではなく他の男性を見るためジムへと通い、ブランド物の服を着ることから、簡単に見分けることが可能であると主張。
さらにゲイの男性はハンサムな男性を見ると嬉しそうにする、などとしている。
またレズビアンの女性に関してはハグをする傾向にあり、男性を相手にしないとしている。
マレーシアでは同性愛は法律違反
一方、イスラム教国であるマレーシアにおいて同性愛は違法行為に値する。
違反した場合、特定の性行為を禁じる植民地時代より続く法の下、最高で懲役20年の実刑判決を受ける可能性があるという。
また昨今のマレーシアにおけるLGBTの人々に対する差別は、マレーシア政界や文化においてイスラム保守派が影響力を増していることの裏返しでもある。
Sinar Harian紙における今回の記事も、イスラム教の伝道師Hanafiah Malik氏のインタビューを基に作成されたものであり、同氏はマレーシアにおいて同性愛者が増加していることへの危機感を訴えている。
https://twitter.com/_sayacakap_/status/961879363166679041
さらにマレーシア政府は同国の検閲規定に則り、昨年ウォルト・ディズニー社に対して、映画「美女と野獣」における同性愛を彷彿とさせるシーンのカットをも要請していたという。
同性愛者を標的とした残虐な事件も発生
一方、マレーシアでは昨年18歳の学生T Nhaveenさんが、クラスメートにより殴打された上に焼殺されるという残忍な事件が発生。
クラスメートらは、T Nhaveenさんのことをゲイの男性を意味する言葉である“pondan”であるとしていたという。
さらにこの事件の発生から数カ月後には、27歳のトランスジェンダーの女性、Sameera Krishnanさんが勤務先の花屋でナイフにより襲われた上に、3度も撃たれるという事件も発生。
この後、同性愛者を支援する活動家の間からは、マレーシアにおける同性愛者を罰する法律は行き過ぎであり、法改正を行うべきであるとの声が聞かれてきた。
そんな活動家の一人であり、ソーシャルメディア上で強い影響力を持つ人物Arwind Kumarさんは、Sinar Harian紙の記事は同性愛者の人々の命を危険に晒すものであると指摘。
「マレーシアには取り組む必要のある、より重要な問題がある」というArwind Kumarさん。
「もし本当に社会を教育したいのであれば、小児性愛者や痴漢、殺人者、誘拐犯など、他の人々の命を真に脅かす人々について説明すべきだ。ゲイの人々が一体どうやってあなたの命を危険に晒すというのか?」
Kumarさんがこの件に関してYou Tubeに投稿したビデオは、24時間以内で数万回もの再生を記録している。
世界各国において同性愛者の人々への理解が広まる昨今。その潮流に逆らうかのような今回の記事は残念であるが、根本的な問題はSinar Harian紙ではなくマレーシア社会に横たわっている。(了)
出典:The Guardian:Malaysian newspaper publishes ‘how to spot a gay’ checklist (2/12)
出典:BBC News:Malaysian newspaper’s ‘how to spot gay person’ list sparks anger(2/13)