死にゆく母と1人残された娘、1枚の写真に込められた2人の思いが切ない
イギリスの病院で撮影された1枚の写真。そこに映っている母と娘の物語が、多くの人々の共感を呼んでいる。
母親に優しくキスをする娘の姿
その写真とは、末期ガン患者の終末期医療を行うホスピスで撮影されたもの。
ベッドに横たわっているVicky Fennさん(38)は、この写真が撮影された数日後に、乳ガンでこの世を去ったという。
そして写真には、そんな母親に優しくキスをする娘のRoxyちゃん(8)の姿が写っていた。
すでに父親は死亡、1人残される娘
Vickyさんに悲劇が訪れたのは3年前の2015年。その年、パートナーのBobさん(55)は、心臓に複数の病気を抱えて亡くなったという。当時、Roxyちゃんは5歳だったそうだ。
しかもその1年後、状況はさらに悪くなる。2016年の7月には、Vickyさんの胸にしこりが発見されて、ステージ3、核グレード3の乳ガンと診断されてしまう。
当初、医者は治る可能性があると伝えていたが、2017年にはガンが骨にまで到達。もはや治療によって回復する見込みはないと宣告されたそうだ。
それから約1年後、今年の4月18日の午後11時30分、Vickyさんは長い闘病生活を終え、ついに永い眠りについた。
Vickyさんの闘病を記録したフェイスブックページ「Fenn’s Fighters」では、彼女が安らかに、そして痛みを感じることなく、家族に見守られながらこの世を去ったと記されている。
また姉のTeresa Cameronさんによって、これまで応援してくれた人々への感謝の気持ちも綴られていた。
常に笑顔を浮かべ続けた強い母親
姉のTeresaさんによれば、VickyさんはBobさんの死も含めてさまざまな悲劇に襲われながらも、常に笑顔を絶やさなかったという。
いつも強い信念を持ち、自分のガンが治らないと知った時でさえ、怒りの感情を表すことなく、「なぜ自分なのか!」と取り乱すこともなかったそうだ。
病状が急速に悪化し、残された時間がないと悔しく思いながらも、いつも微笑みを浮かべるよう努めていたと言われている。
しかし常に、自分が死んだ後に娘はどうなるのかを心配し、両親がいないまま成長していくRoxyちゃんのことを絶えず気にかけていたという。
思いを詰め込んだメモリーボックス
もっともVickyさんは2017年、自分の病気が治らないと知った時、すぐRoxyちゃんに真実を伝えたそうだ。そして飛行機を予約し、2人でフロリダへ旅行し、休暇を楽しんだと言われている。
それからVickyさんは、Roxyちゃんのためにメモリーボックスに入れるものを集め始めることに。
その箱はRoxyちゃんが成長した時に開けるものらしく、中にはカードや贈り物などで一杯に満たされていたという。Vickyさんは生前、箱の中身について次のように語っている。
「私は誕生日のカードや、娘の婚約や結婚式の時のためのカードを買っています。娘は本当に大きな箱を持つことになるでしょう。そして1つ1つ開けるごとに、それは語りかけるでしょう。私は娘に手紙も書きたいと思っています。いつも私がそばにいることを知ってもらいたいのです」
「私はまた2つのブランケットも買うつもりです。それは娘の最初に生まれた赤ちゃんのためです。1つは青色、1つはピンクにするつもりです」
叔母のもとで2人のいとこと暮らす
Roxyちゃんは現在、姉のTeresaさんが引き取り、2人のいとこ達と一緒に暮らしているという。
そして学校や住む場所も変わり、環境が大きく変化するなかでも、彼女はとても元気よく暮らしているそうだ。Teresaさんは次のように語っている。
「彼女はとても面倒見がよく、しばしば病院でも母親を手伝ったり、お茶を作ってあげたりしていました。しかし今は、再び子供に戻ることができたのです」
無念な思いで亡くなった両親のためにも、Roxyちゃんには辛い思いを乗り越え、幸せに過ごしてもらいたい。(了)
出典元:METRO:Heartbreaking photo of daughter, 8, kissing mum just days before she lost cancer battle(4/21)
出典元:Mirror:Brave girl’s kiss for dying mum days before she lost cancer battle three years after dad died – leaving her orphaned aged 8(4/21)