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ベルリン映画祭で受賞したイスラエル人の映画監督、殺害の脅迫を受ける

ベルリン映画祭で受賞したイスラエル人の映画監督、殺害の脅迫を受ける
X_Yuval Abraham

イスラエル人の映画監督が、ベルリン映画祭の受賞式において、ガザ地区での停戦を呼びかけた。

 

「ガザ地区での停戦」を呼びかける

 

その映画監督とは、Yuval Abrahamさん(29)だ。

 

彼が監督したドキュメンタリー映画『No Other Land』は2月24日、ドイツの「ベルリン映画祭」において、最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したという。

 

この作品は、ヨルダン川西岸地区の村、Masafer Yattaでパレスチナ人の集落が消滅させられる様子が描かれていたそうだ。

 

Abrahamさんは受賞スピーチで、パレスチナ人が「人種隔離政策(アパルトヘイト)」の状況下に置かれているとし、ガザ地区での停戦を呼びかけた。

 

 

またこの映画製作のパートナーであるパレスチナ人のバーゼル・アドラ氏も、受賞式で「ガザ地区の人々が、虐殺されている」とし、ドイツ政府に対し、イスラエルへの武器輸出を停止するよう訴えた。

 

SNSで殺害の脅迫を受ける

 

しかしその後、ドイツの複数の国会議員は、Abrahamさんの受賞スピーチなどが「反ユダヤ的」だと非難。

 

その後、Abrahamさんは、SNSで殺害の脅迫を受けただけでなく、イスラエルにある彼の実家にも、見知らぬ複数の人間が現れたため、親族が避難することになったという。

 

Abrahamさんは国会議員の「反ユダヤ的」との発言が、自身や家族への脅迫に繋がったと主張。またイスラエルのメディアも彼の発言を「反ユダヤ的」と報じたため、当分母国には戻らないことを明らかにした。

 

ホロコーストの生存者の子孫

 

Abrahamさんの祖母はナチスの強制収容所で生まれ、父方の家族のほとんども、ホロコーストで殺されたそうだ。彼は「ガーディアン」紙に対して、次のように語っている。

 

「ホロコーストの生存者の息子としてドイツの地に立ち、停戦を呼びかけ、その後『反ユダヤ主義者』のレッテルを貼られるのは言語道断であるだけでなく、文字通りユダヤ人の命を危険にさらしています。(略)ドイツは、ユダヤ人を保護するために作られたこの用語を武器化し、パレスチナ人を黙らせるだけでなく、占領に批判的で『人種隔離政策・アパルトヘイト』という言葉を使うユダヤ人やイスラエル人も黙らせようとしている。これはまた危険でもあります。なぜなら『反ユダヤ主義』という言葉の価値を下げるからです」

 

またAbrahamさんは、ヨルダン川西岸地区の村に戻ったバーゼル・アドラ氏を心配しており、「イスラエル軍や入植者が、いつでもバーゼルに対して復讐できるだろう」と述べている。(了)

 

出典元:The Guardian:Israeli director receives death threats after officials call Berlin film festival ‘antisemitic’(2/27)

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