汚染された血液による感染で3000人以上が死亡、政府が事実を隠蔽【イギリス】
イギリスで5月20日、血液感染に関する調査の最終報告書が発表され、首相が謝罪に追い込まれた。
ウイルスに汚染された血液や血液製剤
この調査は、国民保健サービス「NHS」での治療中に、数千人の患者が致死性の感染症、HIVや肝炎に罹患したことが判明したことを受け、行われたという。
その結果、ウイルスに汚染された血液や血液製剤を投与され、3000人以上が死亡したことが明らかになったそうだ。
しかもこの事実をこれまでの政府が隠蔽してきたとして、スナク首相は「国家を代表して心からの明白な謝罪をしたい」と述べた。
被害は現在も起きている
2527ページ以上の報告書によれば、1970年代から1990年代にかけて、NHSのケアを受けていた3万人以上が致死性のウイルスに感染したという。
しかも感染症に苦しんだ患者は毎週、平均すると4日に1人が死亡しており、汚染された血液による被害は今も起きているそうだ。
さらに今回の調査では、政府職員が文書を破棄するなど、被害を隠蔽する意図的な試みも判明したという。
亡くなった人々には、事故や手術、出産時に輸血が必要になった人も含め、治療において汚染された血液が投与されたそうだ。
政府が専門家の警告を無視
イギリスでは以前、海外からの血液製剤の輸入が続けられ、その中にはアメリカの囚人や麻薬中毒患者など、高リスク献血者からの血液も含まれていたという。
イギリス本国でも、囚人などの高リスク集団からの献血の調達が1986年まで継続されており、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)のリスクが1982年から知られていたにもかかわらず、1985年末まで血液製剤の加熱処理を行っていなかったそうだ。
しかも政府は1983年、HIVリスクが「明確になる」まで、アメリカから輸入されたすべての血液製剤の使用を中止すべきだ、という感染症専門家の警告を無視した。
今回の調査報告書では、このような被害が、医師やNHS、政府、その他安全に責任を負う人々によって、一度ではなく、何度も繰り返されたと指摘している。
スナク首相は、被害者への賠償金として「どんな費用がかかっても」支払うと約束しており、詳細は後日、発表される予定となっている。(了)
出典元:BBC:PM apologises after infected blood scandal cover-up(5/20)
出典元:METRO:Government covered up infected blood scandal that left 3,000 dead(5/20)