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イスラエル軍、ガザ地区へ地上部隊を投入、再び南北を分断

イスラエル軍、ガザ地区へ地上部隊を投入、再び南北を分断
X_Israel Defense Forces

イスラエル軍は停戦協定を破棄し、再び地上軍をガザ地区へ投入し、南北を分断した。

 

「ネツァリム回廊」に進軍

 

イスラエル軍は先月、ガザ地区中部と北部の間に設けられた「ネツァリム回廊」から撤退。これにより南部や中部に避難していたパレスチナ人が、北部の自宅に戻ることができた。

 

しかし3月19日、イスラエル軍は「ネツァリム回廊」に進軍し、再び南北を分断する緩衝地帯を作ったと明らかにした。

 

イスラエル軍はここを拠点に、ガザ地区へ軍事作戦を続けるとみられ、ガザ地区北部と東部にいる15万人のパレスチナ人に対し避難命令も出しているが、回廊の制圧により自由な移動が制限されることになる。

 

国連の職員も死亡

 

またイスラエル軍は3月19日もガザ地区へ空爆を続けており、ガザ地区の保健当局は19日、イスラエル軍の数回に及ぶ空爆で数十人が死亡したと発表。犠牲者の中には、ガザ中部のDeir al-Balahにある国連施設への攻撃で死亡した、外国人の国連職員も含まれていたという。

 

一方、ガザ地区・民間防衛サービスの報道官は、19日のイスラエルのさらなる空爆で約20人が死亡し、18日未明から始まった大規模空爆以来、過去48時間で死者数は436人になったと述べた。

 

これまでイスラエル軍の空爆により、183人の子供と94人の女性が殺されている。

 

なぜ、ガザ地区の再攻撃に踏み切ったのか?

 

3月1日に停戦の第1段階が終了したが、その後、イスラエル側はガザ地区からの完全撤退と恒久的停戦を条件とする第2段階への移行を拒否。

 

軍を撤退させれば「ハマス」の再武装につながるとして応じず、さらなる人質の解放に向けて第1段階を約6週間延長すべきだと主張してきた。

 

しかし「ハマス」側は、第2段階への速やかな移行を主張したため、イスラエル側はガザ地区への人道支援物資の搬入を阻止。またガザ地区への電力供給も遮断した。

 

そしてネタニヤフ首相は、「ハマス」が第1段階の延長を拒否したため、空爆を再開させたとし、残りの59人の人質(大半は死亡していると思われる)の多くを解放するよう圧力をかけた。

 

しかし、ガザ地区を攻撃し、「ハマス」に圧力をかけて、人質の解放を目指すというやり方自体に、もはや国民の支持は集まっていないようだ。

 

イスラエルの政治アナリスト、オリ・ゴールドバーグ氏によれば、国内ではムードが変わり、ガザ攻撃再開が人質解放に役立つというネタニヤフ首相の主張を信じる人はほとんどいないという。

 

また専門家らは、今回のガザ地区への再攻撃は、ネタニヤフ氏が連立政権の強化を狙い、または国民からの批判を避ける狙いがあるとの見方を示している。

 

先日、ネタニヤフ首相は、自らの側近の収賄容疑を捜査していた国内治安機関「シンベト」のトップを解任しようとしており、多くの国民から怒りを買っていたという。

 

またネタニヤフ首相自身も、数々の汚職容疑で裁判にかけられており、ガザ地区での戦闘を開始することで、注目をそらす必要があるとも言われてきた。

 

実際、イスラエルの検察は、今回のガザ地区での戦闘再開により、汚職裁判での証言を中止するよう求めるネタニヤフ首相の要請に同意したと報じられている。(了)

 

 

出典元:Aljazeera:Israeli forces resume Gaza ground assault, seize part of Netzarim Corridor(3/19)

出典元:The Guardian:Israel launches ‘limited ground operation’ to retake Netzarim corridor in Gaza(3/19)

出典元:Aljazeera:LIVE: Israel says attacks on Gaza that killed hundreds ‘only the beginning’(3/18)

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