X_Reuters Pictures

アメリカ・ロサンゼルスで移民取り締まりへの大規模な抗議デモが続いており、ついに海兵隊が現地に派遣されることになった。

州兵に続き、海兵隊員を派遣

カリフォルニア州のロサンゼルスでは先日、国土安全保障省に属する移民・税関執行局（ICE）が移民の一斉取り締まりを行ったことに人々が反発し、大規模なデモに発展。多くのデモ参加者は平和的に行進を行っていたが、一部が暴徒化した。

これを受け、トランプ大統領は抗議デモを鎮圧し、連邦政府の施設を保護するため、州兵を派遣。しかし抗議デモはさらに拡大したため、トランプ氏は8日、海兵隊の投入も示唆した。

そしてアメリカ軍北方軍は6月9日、第1海兵師団第7海兵連隊第2大隊に所属する約700人の海兵隊員が、ロサンゼルス大都市圏で連邦職員と連邦施設の警備にあたることになったと発表した。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事（民主党）は、海兵隊の派遣を「非アメリカ的」だと非難。次のようにトランプ政権の行動を批判した。

「アメリカ海兵隊員は民主主義を守るため、幾多の戦争で名誉ある任務を遂行してきた。彼らは英雄だ。独裁的な大統領の狂った幻想を叶えるために、彼らはアメリカの地で自国民と対峙する任務に就くべきではない」

州兵派遣は違法だとして提訴

これに先立ち、カリフォルニア州のニューサム知事は、州が要請していないにもかかわらず、トランプ氏が州兵の派遣を決定したと非難。9日には、州兵の派遣が違法だとして、裁判所へ提訴した。

ニューサム知事は、デモ参加者と法執行機関（警察など）との衝突は、「まさにドナルド・トランプ大統領が望んでいたことだ」とSNSに投稿。次のように述べた。

「彼（トランプ大統領）は火を放ち、違法に州兵を連邦政府のものにしようとした。彼が署名した命令はカリフォルニア州だけに適用されるのではない。どの州でも同じことをする権限を与えることになる。我々は彼を訴える」

州知事や市長も逮捕される恐れがあると警告

またトランプ政権の国境警備責任者であるトム・ホーマン氏は6月7日、ニューサム知事やロサンゼルス市長のカレン・バス氏を含め、「一線を越えて」移民・税関執行局（ICE）職員の妨害行為を行えば、逮捕される可能性があると警告していた。

トランプ氏も8日、記者団に対し、カリフォルニア州当局は強制送還を妨害したとして連邦法の訴追を受ける可能性があるとし、「法と秩序の妨げとなる当局者は、当然、裁判にかけられることになる」と述べた。

また9日、トランプ氏は記者団に対し、国境警備責任者のトム・ホーマン氏がカリフォルニア州のニューサム知事を逮捕すれば「素晴らしいことだと思う」と述べた。

これに対し、ニューサム知事はSNSで「アメリカ合衆国大統領が現職知事の逮捕を求めた。こんな日はアメリカで決して見たくないと思っていた。民主党員であろうと共和党員であろうと、これは国家として越えてはならない一線だ。これは紛れもなく権威主義への一歩だ」と批判した。

移民・税関執行局への抗議活動はロサンゼルスだけではなく、今ではニューヨーク市やテキサス州のオースティン、ロサンゼルス南部のカリフォルニア州サンタアナでも行われているという。（了）

出典元：ABC News：LA immigration protests live updates: Police use less-lethal crowd control as protests continue(6/10)