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奴隷にされたヤジディ教徒の女性、逃亡先のドイツでISISの元戦闘員と出くわす

奴隷にされたヤジディ教徒の女性、逃亡先のドイツでISISの元戦闘員と出くわす
flickr_Chairman of the Joint Chiefs of stuff

若いヤジディ教徒の女性が逃げ延びたドイツで、以前自分を奴隷にしたISISの戦闘員と出くわしたとして、多くのメディアが取り上げている。

 

イラクで捕まり、奴隷にされた女性

 

その女性とはAshwaq Haji Hamidさん。彼女は2014年8月3日にイラク北部の都市、モスルでISISに捕らえられ長期間にわたって奴隷にされるも、同年10月22日に脱走。

 

2015年にはISISによって被害を被ったヤジディ教徒の女性を支援するプログラムのおかげで、家族とともにドイツへ到着、南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州で暮らし続けてきたという。

 

しかし2年前、Ashwaqさんはシュヴェービッシュ・グミュントという街で、自分を奴隷として扱い、売り飛ばしたISISの元戦闘員と遭遇。そのためドイツを離れて、現在イラクに戻ったとされている。

 

「お前のことは全て知っている」

 

Ashwaqさんは取材に対し、次のように語っている。

 

「私はイラクから逃げてきました。男の醜い顔を見たくありませんでしたし、記憶に残っている全てのことを忘れたいと思っていました。でもドイツで男を見て、私はショックを受けました」

 

彼女によれば、最初に男と出くわしたのは2016年、学校から自宅へ帰る途中のことだったという。Ashwaqさんは元ISISの戦闘員から追いかけられたが、その時は被害に遭わなかったそうだ。

 

その後、彼女は母親に相談。母親はAshwaqさんに「ドイツでは誰もあなたのことを傷つけることはできない」と言い聞かせたとか。

 

しかし今年の2月、買い物をしている時に、突然男がAshwaqさんの名前を呼んできたという。彼女は「あなたのことは知らない」と伝えるも、男は「お前の住んでいる場所は知っている、お前のことは全て知っているからな」と答えたという。

 

警察に相談するも「彼も難民だから…」

 

その後、Ashwaqさんは警察に相談。しかし警察は「彼もまた難民だから、私たちにできることは何もない」と伝えてきたそうだ。

 

とはいえバーデン=ヴュルテンベルク州警察は、3月には元戦闘員に対する調査を開始。しかし男を特定することはできず、いまだに捜査は進んでおらず、この事件に対する予備手続きも7月から止まったままだと言われている。

 

このためAshwaqさんはドイツを離れることを決意。現在、イラクのクルド人自治区にある難民キャンプで両親とともに暮らしているという。

 

彼女は取材で次のように語っている。

 

「もし私が、男を見なければ、ドイツに留まっていたでしょう。私は学業を終えたかったし、豊かな生活をもたらしてくれる学位も取得したかったからです」

 

「私はドイツ政府に対し、その男を罰する以外に何も望んでいません。そして私と同じ経験をしている多くの女性がまだドイツにいることを理解して欲しいのです。そしてドイツにいるISISから、彼女たちを守って欲しいのです」

 

4年前、ISISはクルド系のヤジディ教徒が「悪魔を崇拝している」と非難し、多くの住民を虐殺、女性など6000人を連れ去ったとされている。

 

そしてイラクに戻ったAshwaqさんも、未だに身の危険を感じているという。彼女たちが安心して暮らせる日が早く訪れることを願う。(了)

 

 

出典元:USA TODAY:Yazidi woman flees Germany after encountering her Islamic State captor in the street(8/17)

出典元:NYPost:Former ISIS slave flees Germany after encountering her captor(8/18)

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