英軍が女性兵士にあらゆる任務を開放、特殊部隊「SAS」への配属も可能に
イギリス軍の女性兵士は今後、特殊部隊も含めたあらゆる部隊への入隊を申請できることとなった。
性ではなく能力で評価
Gavin Williamson国防大臣は先日、全ての戦闘での役割を女性に解放することになったと発表。その上で今後は、女性兵士が「SAS」など特殊部隊への配属も可能になるとの見通しを示した。
Williamson大臣はこの方針について「イギリス軍において初めて、兵士のジェンダー(性別)ではなく、能力だけで(配属・役割が)決められることになった」と語っている。
すでに戦車部隊には女性兵士がいる
BBCによればイギリス陸軍において、近接戦闘ユニットへの女性の参加が許されるようになったのは2016年だという。
この年の11月に、戦車を運用している英軍機甲部隊が初めて、地上部隊に女性が参加できるようドアを開いたそうだ。
その後、35人の女性兵士が実際にこの任務に就き、または部隊に参加するためにトレーニングを受けたとか。
さらに現在でも、すでに軍役に就いている女性兵士には、英海兵隊や歩兵部隊への配属願いを申請できるとされている。
そして今回初めて、訓練を受けた女性に対し、特殊部隊「SAS」の隊員にもなれる道が開かれたという。
「乗り越えられないことはない」
女性として初めて戦車の砲手となったKat Dixon兵長は、取材に対し次のように語っている。
「私は自分が先駆者だとは言いたくありません。ただ他の人についてきてほしいと思っています。私は女性にはもっと提供できるものがあると思っています」
「もしその人が必要な条件を満たしているのなら、どんなことでも禁止されるべきではありません。ただしその人間は、(男性と)同じ条件を満たさなければなりません」
その上でDixon兵長は、「自分がパスしなければならなかった肉体的なテストは難しく、そのことは女性にとって別の困難があることを表していますが、決して越えられないことではないのです」と語っている。
元軍人からは反対意見も
しかしながら女性をこのような部隊に配属させることには反対意見もあり、退役将校で大佐だったRichard Kemp氏は次のように語っている。
「この新しい政策は人命に関わるかもしれない。私の経験では、たとえ男のチームだったとしても、またそこに女性が1人か2人いたとしても、チームワークを損ね、分裂へとつながる可能性があります」
一方、防衛戦略アナリストは、伝統的な最前線への理解は時代遅れだとし、今ではさまざまな分野で女性が任務に就いていると指摘している。
女性兵士に対して新たな仕事を開放したイギリス軍。女性兵士の中には活躍の分野が広がることで、やりがいを感じる人もいるかもしれない。(了)
出典元:BBC:SAS: Women allowed to join for first time(10/26)
出典元:The Telegraph:Women now able to join the SAS as defence secretary opens up all roles in Armed Forces to both sexes(10/25)