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キリンが絶滅危惧種に?アメリカの魚類野生生物局が指定を検討中

キリンが絶滅危惧種に?アメリカの魚類野生生物局が指定を検討中
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キリンといえば、動物園ではお馴染みの動物だ。しかしそんなキリンを絶滅危惧種として指定することを米国の機関が検討しているとし、波紋を広げている。

 

絶滅危惧種、または絶滅の恐れがある種に指定か

 

キリンの絶滅危惧種としての指定を検討するのは、米国内務省内に設置され、野生動物の保護管理を行う機関である魚類野生生物局。

 

同局が先月25日に発表したところによると、キリンは絶滅の恐れがある種、あるいは絶滅危惧種として指定されるに値する可能性があるという。

 

米国では2017年、環境保護団体などがキリンには絶滅の恐れがあるとして、トランプ政権に対してその保護を求める申し立てを行っていた。

 

魚類野生生物局は、キリンを絶滅危惧種として指定するか否か最終的な決定を下すに際し、本格的な審査を開始させるとしているが、これには数年ほどかかる可能性があるという。

 

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キリンが存在しない米国で絶滅危惧種指定の理由とは

 

一方、アフリカを原産とするキリンは、米国においては野生では生息していない。

 

それではなぜ米国の魚類野生生物局が、キリンの絶滅危惧種指定を検討しているのだろうか。

 

その背景としては、キリンの骨や皮、肉などが国際的に取引されていることがあるようだ。

 

これについて、キリンの保護活動を行う米国動物愛護協会などの弁護士を務めるAnna Frostic氏は、「米国では平均して1日1つ以上のキリンの記念品などが輸入されており、年間数千ものキリンの身体の一部が国内で売られている」と指摘する。

 

米国においてはこの10年以上の間に、2万1400以上ものキリンの骨の加工品、3000ものキリンの皮膚の一部、3700もの狩猟によって得られた記念品が輸入されていたという。

 

「米国はキリンが絶滅への道へと向かいつつある中、何の規制もなく年間数千にも及ぶキリンの身体の一部が輸入されるのを見過ごし、何もしないというわけにはいかない」

 

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人間による狩猟で減少を続けるキリン

 

キリンは原産国アフリカで近年急激に減少しており、その絶滅の可能性は生物学者の間では以前から指摘されていた。

 

その個体数はこの30年間で40%近くも数を減らしており、今や9万7000頭程度しか存在していないとされ、さらには野生に存在する成体のキリンの総数に至っては6万8000頭程度に留まるとみられている。

 

このキリンの急激な減少をもたらしている理由としては、生息地の減少や内戦、密輸などが挙げられるが、その中でも最も深刻なのが人間による狩猟だ。

 

その生息地となっている20カ国程度のアフリカ諸国では、キリンは食肉用として狩りの標的になることが頻繁に見受けられ、さらにはキリンを狩猟動物として娯楽のために狩ることも増えているという。

 

 

米国の非営利団体「生物多様性センター」のTanya Sanerib氏は、このキリンの数の減少について「キリンのイメージは子供の頃から残っていても、多くの人は野生におけるキリンの数がどれほど少ないかということを知らない」と語る。

 

「もし将来の世代がキリンをおもちゃとしてしか知らず、長い首を持つアフリカの象徴としてのキリンを知らないのであれば、トランプ政権は非難されることになる」

 

お馴染みの動物であるキリンが、米国で絶滅危惧種として指定される可能性を浮上させることとなった今回の発表。子供から愛される動物であるキリンが将来も存在することの出来るよう、米国は早急に手を打つべきなのではないだろうか。(了)

 

出典:USA TODAYFeds take first step toward protecting giraffes under Endangered Species Act (4/25)

出典:HuffPost:U.S. Takes Step Toward Protecting Giraffes Under Endangered Species Act(4/26)

出典:The New York Times:U.S. to Consider Listing Giraffes as Endangered Species(4/27)

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