アメリカ軍がアフガン紛争で調査・統計を歪曲、問題に
2001年の同時多発テロから現在まで、18年続いているアフガニスタン紛争。米国政府高官や軍幹部らは、この戦いに勝ち目がないことを知りながら、事実を歪曲し、成果があがっているような発表を続けていた。
そのことを示す2000ページを超える内部文書が見つかったと、米国の主要メディアが一斉に報じている。
内部文書は、米紙ワシントン・ポストが自由情報法に基づいて政府に公開を求め、3年間の裁判の末に入手したもの。アフガニスタンでの軍事作戦に直接に関わった軍幹部や外交官、政府職員らへのインタビュー記録が含まれている。
やみくもに進めた戦争
その文書中にある、元米軍幹部のこんな発言がメディアに引用されている。ブッシュ、オバマ両政権で、アフガニスタンでの戦争を統括したDouglas Lute陸軍大将の言葉だ。
われわれには、アフガニスタンに関する基本的理解がなく、何をしているかさえ分からなかった。
われわれはここ(アフガニスタン)で何をしたいのか? 何のために苦労してやっているのか、かいもく見当がつかなかった。
2001年以降、77万5000人以上の兵士がアフガニスタンに派遣され、約2300人が死亡、20589人が負傷している。
また、海外メディアによれば、文書の中で数名の人物が「首都カブールやホワイトハウスの軍本部は戦争が勝利に向かっているように見せるため、統計を歪曲して発表した。これは普通のことだった」という内容の発言をしているとのこと。
例えば、2013年から2014年にかけて対反乱作戦のアドバイザーを務めたBob Crowley大佐の発言が、メディアに引用されている。
あらゆるデータ要素が、最高の結果を示すように改変されました。例えば、調査の類はまったくあてにならず、自分たちがやっていることが全て正しいと言うためだけのもの、つまり自己保全のためのものでした。
ビンラディンが墓の中で笑っている
多くの人命が失われたことに加え、莫大な額の米国家予算もアフガニスタンの紛争で消えている。米ブラウン大学のNeta Crawford教授によれば、少なく見積もっても9340億ドル〜9780億ドル(約101兆円〜約106兆円)がこれまでに使われたそうだ。
この1兆ドル近い支出について、ホワイトハウス職員のJeffrey Eggers氏(元海軍特殊部隊員)は、文書の中でこう言っている。
この1兆ドルの取り組みで、われわれは何を得たのでしょうか? 1兆ドルの価値があったのでしょうか? オサマ・ビンラディンを殺しはしましたが、ビンラディンは、われわれがアフガニスタンに使った金額を考えて、きっと墓の中で笑っていることでしょう。
(了)
引用元:Indipendent:US officials distorted statistics to mislead public about Afghan war, confidential documents reveal(12/10)
引用元:The New York Times:Key Takeaways in Newly Released Documents Detailing Failures of War in Afghanistan(12/09)