『クリスマス・キャロル』の著者が150年前のクリスマスに記した手紙を発見、その内容とは…
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守銭奴のスクルージが、クリスマス・イヴの出来事をきっかけに改心する様を描いた名作、『クリスマス・キャロル』。
その作者として知られるチャールズ・ディケンズが150年前のクリスマス・イヴの日に書き残した手紙の存在が明らかになり、クリスマスを目前に注目を集めている。
心待ちにしていた七面鳥を失う
発見されたチャールズ・ディケンズによる手紙は、1869年に記されたもの。
この年のクリスマスの週、ディケンズのツアーマネージャーであるジョージ・ドルビーは、クリスマスのギフトとしてディケンズに七面鳥を贈ったはずだった。
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ところが七面鳥がディケンズの元に届くはずであったクリスマス・イヴの日、英国の鉄道会社「グレート・ウェスタン・レールウェイ」が運行していた列車では、ロンドン西部に位置するハンウェル駅近郊で馬の運搬を担う貨車において火災が発生。
その貨車にはディケンズの七面鳥も積載されており、火災に巻き込まれることに。
それを知る由もないディケンズは、心待ちにしていた七面鳥が到着しないことに憤りを募らせたのか、この日ドルビーに”七面鳥はどこだ?届いてないぞ!!!!!!!”とのメッセージを送ったという。
1870年に亡くなることとなるディケンズにとって、この日は残念ながら人生最後のクリスマスとなってしまった。
ちなみに黒焦げになった七面鳥は、その後一人前6ペンス(現在の価値で約8円)という破格の値段でバークシャー州の町、リーディングの住民に販売されたことが伝えられている。
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事故から二ヶ月後に記された手紙
一方今回発見された手紙は、その火災から二ヶ月後の1870年2月にディケンズがグレート・ウェスタン・レールウェイ宛てに送ったもの。
この手紙に先立ち、同社は火災によって七面鳥が失われてしまったことをディケンズに謝罪していた。
これに対する返答として、ディケンズがグレート・ウェスタン・レールウェイ宛てに送った手紙の中では、”私のクリスマスの料理が避けられぬ事故によって失われたこと、そして私がこの損失を不屈の良いユーモアで耐えるということは、疑いの余地がありません”などと綴っている。
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長年にわたり失われていた手紙
このディケンズによる手紙は、ディケンズの死後38年となる1908年にグレート・ウェスタン・レイルウェイの冊子に掲載された。
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ところが英国ノース・ヨークシャー州に位置する国立鉄道博物館で保管されることとなった手紙は、膨大な資料の中に紛れ、長年にわたり行方不明に。
しかし資料の見直しの際に再発見され、現在は同博物館で展示されているという。
国立鉄道博物館のキュレーターEd Bartholomew氏は、より伝統的なクリスマスの料理であるガチョウに代わり、七面鳥を『クリスマス・キャロル』の中で登場させるなど、現在我々がイメージするクリスマスのあり様を世に広めるのにディケンズが果たした役割を指摘。
その上で今回再発見された手紙について、「この発見のわびしい皮肉は、クリスマスの体験を形作るのに大いに貢献した男が、彼にとって最後のクリスマスとなる日にお腹を空かせたままとなっていたかもしれないことだ」としている。
国立鉄道博物館によると、ディケンズがこの後代わりの七面鳥を手に入れることが出来たのか否かは定かではないという。
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クリスマスにまつわる文学作品として最も有名な『クリスマス・キャロル』を著したディケンズが、人生最後のクリスマス・イヴに贈り物の七面鳥を焼失していたというなんとも残念な事実。
彼がこの後、代わりの七面鳥なりガチョウなりを手にすることが出来たことを願うばかりだ。(了)
出典:The Guardian:Charles Dickens’s final Christmas turkey lost by Great Western Railway (12/18)
出典:Fox News:150-year-old Christmas letter from Charles Dickens discovered(12/20)
出典:CNN:Charles Dickens’ last Christmas turkey was lost in a freak accident(12/20)