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「ベイプ」に含まれる化学物質、加熱すると人に害を及ぼす可能性

「ベイプ」に含まれる化学物質、加熱すると人に害を及ぼす可能性
flickr_Vaping360

リキッドと呼ばれる液体を熱して、煙を生成させる「ベイプ」。その危険性を指摘する、研究結果が発表された。

 

フルーツ風味で危険な化合物を生成

 

この研究を行ったのは、アイルランドの首都・ダブリンにあるRCSI医科健康科学大学の研究チームだ。

 

そもそも「ベイプ」は、香り付きの液体を高温で加熱し、生成された煙を吸い込むもので、リキッドには「植物性グリセリン」や「プロピレングリコール」「ニコチン」「香料」などの化学物質がさまざまな量で配合されているという。

 

これまでの実験でも、イチゴやメロン、ブルーベリーなどの一部のフルーツ風味の「ベイプ」には、この加熱プロセスにより「揮発性カルボニル」と呼ばれる危険な化合物を生成することが示されていた。

 

この化合物は「慢性閉塞性肺疾患(慢性呼吸器疾患の1つ)」や「心血管疾患」「癌」などに影響を及ぼすと知られている。

 

AIでシミュレーションして予測

 

今回、RCSI医科健康科学大学の研究チームは、AIを使用して180種類に及ぶフレーバーの化学組成を分析し、加熱時にどのように分解するかをシミュレーションをしたという。

 

その結果、127種類の「急性毒性」を示す化学物質や、153種類の「健康被害」を及ぼす化学物質、225種類の「刺激物」が生成されると予測されたそうだ。

 

しかもほぼすべてのフレーバーで、少なくとも1つの製品が「健康被害」を与えるものと分類されたという。

 

今回の実験では、ニコチンを含まないものと、含むものが調べられ、両方からそれらの毒素が検出されたそうだ。

 

規制の強化を提唱

 

今回の研究結果は、科学誌「Scientific Reports,」において発表されており、研究チームは「イギリスの450万人のベイプ利用者が直面する、潜在的な公衆衛生上の脅威がある」と指摘している。

 

その上で、特に若い人々の「ベイプ」への健康被害を反映させた規則や、フレーバーなどに対し、「規制の強化」が緊急に必要であると結論付けた。

 

イギリス政府は今年の1月、2025年までに「使い捨てベイプ」の使用を禁止し、甘いものやフルーティーなフレーバーを制限すると発表している。

 

しかし今回の研究論文の筆頭筆者である、RCSI医科健康科学大学のDonal O’Shea教授は「ベイプから全てのフレーバーを取り除く必要がある」と警鐘を鳴らしている。(了)

 

出典元:The Guardian:Chemicals in vapes could be highly toxic when heated, research finds(5/8)

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