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岩田教授への反論、厚生労働省技術参与の高山義浩氏がFBで現場の詳細を語る【全文掲載】

岩田教授への反論、厚生労働省技術参与の高山義浩氏がFBで現場の詳細を語る【全文掲載】
Facebook/高山義浩

「ダイヤモンド・プリンセス号」での隔離方法について告発した、岩田健太郎教授。彼への反論として、現場で対応してきた人物がフェイスブックで間違っている点、誤解のある点などを解説した。

 

感染拡大防止策批判への反論

 

その人物とは、厚生労働省で技術参与として働いておられる高山義浩氏だ。

 

神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授は昨日、YouTubeの動画において「ダイヤモンド・プリンセス号」の感染拡大防止策が不適切だと批判した。

 

これに対し現場で働いていた高山氏は当時の状況などについてFacebookで説明し、岩田教授の発言について修正あるいは反論を行った。その全文が下になる。

 

岩田 健太郎先生の動画(コメント欄にリンク)を拝見して、まあ、「岩田先生らしいなぁ」と思いつつ、あまり気にしていなかったんですが、しっかり炎上しているようです。

岩田先生をご存じない方々には、ちょっと刺激が強すぎたのかもしれません。ただ、下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を追い詰めかねない内容なので、事実は事実と認めつつも、動画のなかに登場する当事者として、勘違いされていること、抜けているところは修正させていただきたいと思います。

>1日で追い出されてしまいました。

事実です。正確には、船内におられたのは2時間弱ですね。ご覧になったのは、ラウンジ周辺のみと認識しています。

>厚労省で働いている某氏から電話がきて「入ってもいいよ」と、「やり方を考えましょう」ということでした。

これ、私ですね。ただし、「入ってもいいよ」とは言ってません。その権限はないので。ただ、「やり方を考えましょう」とは申し上げました。そして、環境感染学会が活動していたので、そこを通じてなら活動できるかもしれませんとアドバイスしました。でも、申し込むも(しばし放置されたのちに)断られたとのことでした。

>DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなく、DMATの一員としてDMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげる

これ、私。ただし、「入れてあげる」とは言ってません。その権限はないので。ただ、「DMATとして入る以上は、DMATの活動をしっかりやってください。感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてください。信頼関係ができたら、そうしたアドバイスができるようになるでしょう」と申し上げました。

というのも、現場は乗客の下船に向けたオペレーションの最中であって、限られた人員で頑張っているところだったからです。そうしたなか、いきなり指導を始めてしまうと、岩田先生が煙たがられてしまって、活動が続けられなくなることを危惧したのです。まあ、クルーズ船とは特殊な空間ですし、ちょっと見まわしたぐらいでアドバイスできるものではないとも思ってました。

もちろん、岩田先生の豊富な経験を否定するものではありません。ただ、DMATや自衛隊、検疫所など多様な組織が重層的に活動している特殊な環境ですから、まずは慣れていただくことを優先するよう私は求めたのです。

>「分かりました」と言って現場に行きました。

というわけで、岩田先生は約束してくださいました。

>DMATのチーフのドクターと話をして、そうすると「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし、お前は感染の仕事だろう、感染の仕事やるべきだ」という風に助言をいただきました。

これ事実です。岩田先生は、これで自分は感染対策についての活動ができるようになったと理解されました。ただ、船には、DMATのみならず、厚労省も、自衛隊も、何より船長をはじめとした船会社など、多くの意思決定プロセスがあります。その複雑さを理解されず、私との約束を反故にされました。せめて、私に電話で相談いただければ良かったんですが、そのまま感染対策のアドバイスを各方面に初めてしまわれたようです。

結果的に何が起きたか・・・、現場が困惑してしまって、あの方がいると仕事ができないということで、下船させられてしまったという経緯です。もちろん、岩田先生の感染症医としてのアドバイスは、おおむね妥当だったろうと思います。ただ、正しいだけでは組織は動きません。とくに、危機管理の最中にあっては、信頼されることが何より大切です。

>アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイアモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。

これは岩田先生の感受性の問題ですから、否定するつもりはありません。また、船という特殊な閉鎖空間において、新興感染症が発生しているわけですから、怖くないはずがありません。ただ、そのなかで継続して頑張っている人たちがいることは、ぜひ理解してほしいと思います。ちなみに、私は明日も船に入ります。

課題は多々ありながら、これまで少しずつ改善させてきました。まだまだ改善の余地はあります。ただ、乗客がいる以上は逃げ出すわけにはいかないのです。少なくとも全てのオペレーションが終わるまでは、乗客を下船させて地域に、世界に放つわけにはいきませんでした。

最優先事項は身を守ることだと感染症医の端くれとして私も思いますが、2週間にわたり船のなかで頑張っている人たちは、乗客を支えながら日本と世界を守ることを最優先としているのです。

そういう事態になってしまったことについて、政府を批判することは構いませんが、解決を与えないまま現場を恐怖で委縮させるのは避けてほしかったと思います。逃げ出せない以上は・・・。

>ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。

感染症医として「グチャグチャ」と表現されるのは、分からないこともありません。でも、この表現はゾーニングがまったく行われていないかのような誤解を与えます。しかしながら、実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ・・・。

たしかに、先進国の病院であれば、あるいは途上国でセットされるNGOや国際機関による医療センターであれば、もっと洗練された感染対策が実施されるでしょう。でも、いきなり、約3700人の乗員・乗客(しかも高齢者が多い)において新興感染症が発生した船舶・・・ というミッションは極めて複雑なのです。

私は海外でのNGO活動に関わったことがありますし、現在も国際NGOの理事を務めていますが、どんなNGOであっても、あるいは国際機関であっても、これが混乱状態から始まることは避けられないでしょう。この2週間が反省すべきところがなかったとは言いませんが、ここまで現場はよく頑張ってくれたなと私は思います。精神論と嘲笑されるでしょうが・・・。

>検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。

さすがに、これは違います。そのような導線にはなっていません。患者ではなく、乗客ではないかと思います。乗客ですら、そのようなことは稀だと思います。

>話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。

感染症医はコンサルタントとしての能力が求められます。それは聞いてもらう能力でもあります。私は聞いてもらえなかったとき、相手がダメだとは思いません。自分の説明の仕方が悪かったと思います。

>でも僕がいなかったら、いなくなったら今度、感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよ

これは間違いです。毎日、感染症や公衆衛生を専門とする医師が乗船して指導しています。ご存じなかったんだと思います。まあ、ご自身に比べればプロのうちに入らないと言われると、返す言葉もありませんが・・・

>シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。

シエラレオネにおいて、先進国が運用する医療センターのことだと思います。最貧国の市中病院の感染管理の悲惨さと同一視させることのないようにお願いします。

>エピカーブというのがあるのですが、そのデータを全然とっていないということを今日、教えてもらいました。

これ間違いです。岩田先生のせいではありません。教えた人が知らなかったんでしょうね。感染研がエピカーブを公表しています。新たな報告を加えてバージョンアップされるでしょうが、すでに公表してますし「全然とっていない」わけではありません。

以上、私なりに感じたことを述べました。見解の相違もあれば、私が間違っているところもあるでしょう。ぜひ、ご指摘ください。ともあれ、私は岩田先生の「志」を否定するつもりはありません。クルーズ船の対応についても教訓としていけるよう、きちんと検証して活かしていくべきです。

そもそも、こんなことは初めての取り組みです。失敗がないわけがありません。それを隠蔽するようなことがあれば、それは協力してくださった乗客の皆さん、仕事を放棄しなかった乗員の方々、自衛隊の隊員さんたち、そして全国から参集してくれた医療従事者の方々を裏切ることになります。

ただ、いま私たちの国は新興感染症に直面しており、このまま封じ込められるか、あるいは全国的な流行に移行していくか、重要な局面にあります。残念ながら、日本人は、危機に直面したときほど、危機そのものを直視せず、誰かを批判することに熱中し、責任論に没頭してしまう傾向があると感じています。不安と疑念が交錯するときだからこそ、一致団結していかなければと思っています。

岩田…

高山義浩さんの投稿 2020年2月19日水曜日

動画を削除、その理由を説明

 

その後、岩田教授は、動画を削除。その理由として次のように語っている。

 

「昨日、ダイヤモンド・プリンセス号内で改善がなされたという情報があり、懸念していたゾーニングが整えられたと聞きました。また乗客の二次感染に関するデータも示され、船内で隔離が行われた2月5日以降に二次感染が拡大していないことが明らかになったため、あのような動画で意見を広げること、注意を促す必要はなくなったと考えました」

 

ただしその後も岩田教授はBuzzFeedの取材に対して「ゾーニングの問題や二次感染の問題など多くのことに関して、基本的に意見は変えていません」と主張。

 

「船内における乗客の二次感染リスクは大きく下がった」としながらも「ウイルスが乗員から拡散する可能性はまだあります。リスクは減りましたが、まだある。なので、意見を変えることはありません」と述べている。

 

国立感染症研究所も乗客間での感染を認める

 

高山氏は発言の通り、感染防止策が十分行き届いていなかった点も認めている。そして実際に船内で感染が広がっていると思われるが、厚生労働省側はまだ認めていない。

 

ただ国立感染症研究所は20日までに、5日に検疫が開始され、乗客が客室待機となった後も、一部の乗員や同室の乗客間で感染が続いていたとみられるとの報告をまとめた。(ただし「客室待機などの介入が乗客間の感染を減らすのに有効だったとみられる」とも分析している)

 

一方、各国もチャーター機を派遣し、船内にいる自国民を下船させ、帰国させようとしている。

 

今回の船内での隔離の理由として、3700人という人数の多さが挙げられていたが、今後国内で感染爆発し、数万人の感染者が出た時は今回以上の規模になる。その時の対策はできているのだろうか?(了)

 

出典元:Facebook:高山義浩

出典元:BuzzFeed:新型コロナ、クルーズ船の「告発」をした医師が、海外メディアに訴えたこと。(2/20)

出典元:時事通信:クルーズ客室待機後も感染か 完全な隔離「不可能」―感染研(2/20)

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