マウンテンゴリラを新型コロナから守るため、アフリカでエコ・ツアーなどを中止
新型コロナウイルスの感染への懸念から、アフリカに生息するマウンテンゴリラのツアーなどが中止となった。
科学的助言に従った措置
コンゴ民主共和国にある「ヴィルンガ国立公園」は、観光客などからマウンテンゴリラが新型コロナウイルスに感染しないよう、6月1日までエコ・ツアーを中止すると発表した。
この措置は、ゴリラなどを含む霊長類も新型コロナウイルスから生じる合併症にかかる可能性があるとする、専門家による科学的な助言に従ったものとされている。
すでにルワンダの開発委員会は、ギシュワティ森林保護区やニュングウエ森林国立公園、火山国立公園での霊長類のツアーや研究調査なども中止にしているという。
人間の呼吸器系の病気にかかりやすい
実はコンゴ民主共和国やルワンダ、ウガンダにまたがるこれらのエリアでのマウンテンゴリラを保護する取り組みは、ここ数年絶滅の淵からの回復に成功している。
実際、ゴリラの亜種では個体数も、2008年の680頭から2018年の1000頭以上まで伸びており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにおいても、「近絶滅種」から「絶滅危惧種」にカテゴリーが変更になったそうだ。
今回の措置について、WWF-UK(世界自然保護基金・イギリス)のCath Lawson氏は次のように語っている。
「もし病気(新型コロナウイルス)が導入されてしまえば、近年伸びつつあったマウンテンゴリラの個体数も、急速に逆転する可能性があります。マウンテンゴリラは人間の呼吸器系の病気にかかりやすいことが、知られています。そのため私たちは現在、人間においてCovid-19を引き起こしているウイルスも、マウンテンゴリラにかかりやすいと仮定しなければならないのです。つまり、ただちに人間とマウンテンゴリラとの触れ合いや、病気の感染への機会を最小限にとどめることが、わたしたちの最優先課題なのです」
ツアーからの収入が経済的にも大きな役割
ゴリラの国際的な保護プログラムの一部を共同で担っているWWF(世界自然保護基金)によれば、ゴリラを見るために訪れるツアー客からの収入が、複数の国における地域のまたは国全体の経済を支援しているという。
各国はそのことに気づき、政府も動物たちを保護する方針に転換してきた面があるそうだ。
現在、マウンテンゴリラにとって不可欠なモニタリングだけは続けられており、その際も人間が10m離れ、フェイスマスクを身につけるなど、最善のアプローチをしている。(了)
出典元:METRO:Ecotourism suspended to save endangered gorillas from Covid-19(3/26)