20年以上おがくず入りクッキーを売るドイツの店、裁判所が販売停止に
おがくず入りのクッキーを20年以上販売して来たというドイツのベーカリーが、最近になって、裁判所から販売停止命令を受けた。
ノコギリなどで木材を切ったときに出る粉のような木屑がおがくずだが、これが食材として適切でないという理由だ。
「おがくず入り」を明示していたが
ドイツ・カールスルーエ市にあるそのベーカリーは、通販でドイツ国内中におがくず入りクッキーを売って来たという。おがくず入りであることは隠しておらず、原材料としてパッケージに表示されている。また、ベーカリーのオーナーは、2004年に、市当局におがくず入りクッキーを販売することを書面で報告したが、市からは何の返答もなかったと報じられている。
ところが2017年になって、当局による定例の食品品質検査で引っかかり、販売停止を指示された。オーナーはこれを不服として裁判を起こした。「おがくずは植物から出来るものであり、伝統的に認められた食材の一種である」というのがオーナーの主張だ。
裁判所は食材と認めず
この件を審理したドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州の上級行政裁判所は、おがくずを食材とは認めず、販売停止を命じた。
裁判所によれば、EU(欧州連合)でもおがくずを食品として認可しておらず、歴史的に見ても、人がおがくずを食材にしていたというエビデンスはないとのこと。公開されている判決文には「これらのクッキーは安全でなく、客観的に判断して人が食するのに適していないため、食品としての流通を許すことはできない」と書かれている。
海外メディアによれば、オーナー側は、「おがくずは小麦ブランと同じ植物由来の食材だ」と主張した。ほぼ小麦の外皮と言っていいブラン(ふすま)は、昔は人が食べるものではなかったが、今はシリアルなどにも配合されている。
また、オーガニック産業の非営利監視団体であるアメリカの「The Cornucopia Institute(コーヌコピア研究所)」によれば、1700年代のヨーロッパのベーカリーでは、コスト削減のために生地におがくずを混ぜることが行われていたそう。北欧の国では、松の木の皮(粉)を入れた「Pettuleipa」というパンが今でもある。(ほんのりと松の香りがするらしい)
今回の裁判所の決定は最終的なものでなく、ベーカリーのオーナは控訴も考えているらしい。(了)
出典元:Odditycentral:After 20 Years, Court Tells Baker to Stop Selling Cookies Made With Sawdust(12/28)
出典元:The Cornucopia Institute:A Brief History of Wood Pulp in Food(2017/11/8)