ライト兄弟の飛行機の翼が、NASAのヘリコプターで火星を飛ぶ
人類初の動力飛行に成功したライト兄弟。彼らが作ったその飛行機「ライトフライヤー号」が、航空機の歴史に再び名を刻もうとしている。
火星の空を飛ぶ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は現在、火星に送り込んでいる探査機「Perseverance」から、小型ヘリコプターを飛ばす準備をしている。地球より大気の密度が薄い火星では難しい挑戦だ。
アメリカ・オハイオ州にある「ライト兄弟博物館(Wright Brothers National Museum)」は、2019年に、ヘリコプターを計画中だったNASAから連絡を受けた。人類初となる火星での航空機(ヘリコプター)飛行に、「何らかの形でライト兄弟を参加させることはできないか」といった要望だったという。
ライト兄弟は1903年、自作のエンジン付き飛行機「ライトフライヤー」号で、有人動力飛行を成功させた。計4回の飛行で最長距離は約300m、時間は59秒と短かったが、空気より重い動力付きの機体を初めて飛ばした航空機の先駆者とされている。同じく人類初となる火星のヘリコプター計画に、彼らの名を記念として刻むのはふさわしいと言えるだろう。
そこで博物館は、所有していた「ライトフライヤー号の主翼に張った布の断片」をNASAに送った。それが火星のヘリコプター「Ingenuity」の中に収められている。
離陸は4月8日
NASAは、早ければ4月8日に、ヘリコプターの離陸を試みるつもりだ。うまく行けば、1.8kgの機体は3mの高さまで上昇し、そこで30秒間留まることになる。現在はまだ探査機「Perseverance」と繋がった状態で、システムの点検と、回転翼(ローター)の回転数を上げるテストが行われている。
NASAのニュースリリースによれば、火星表面の大気濃度は地球の1%しかない。そのため、回転翼で得られる浮力(正確には揚力)が少なく、ヘリコプターの設計はとても難しかったそうだ。(了)
出典元:UPI:Wright brothers’ wing fragment to take flight again on Mars(3/24)
出典元:Carillon Historical Park:Carillon Historical Park has partnered with NASA to help make history on the surface of Mars
出典元:NASA:NASA Ingenuity Mars Helicopter Prepares for First Flight(3/24)