【インド】新型コロナから回復した患者の間で、「黒い菌」に侵される症例が増加
新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドで、回復した患者が別の危険な感染症にかかっているケースが報告されている。
真菌の感染で発症する「ムコール症」
その感染症とは「ムコール症」。これは非常に珍しく、危険な感染症とされ、「黒い菌」とも呼ばれている。
インドでは最近、この病気に感染した人が、新型コロナから回復した人、または回復しつつある人の間でみられるようになっているという。
「ムコール症」は真菌の「ケカビ(目)」に晒された場合に感染し、それらは土壌や植物、肥料、腐敗したフルーツや植物の中でも発見されるそうだ。
生命に脅威を与える可能性
ムンバイを拠点にしているAkshay Nair医師は、次のように述べている。
「それはいたるところに存在し、土壌や空気中でも見つかり、健康な人の鼻や粘液でも見つかります」
またこの菌は非常に攻撃的で、人間の鼻や目、時には脳や肺などにも影響を及ぼし、糖尿病を患っている人や、癌やエイズなどで免疫が無防備な状態の人がかかると、生命に脅威を与えると言われている。
ステロイドが原因か
しかもこの病気は致死率が50%と高く、医師たちは新型コロナの治療でステロイドを使用していることが引き金になっていると考えているという。
ステロイドはCovid19患者の肺の炎症を抑え、体の免疫システムの暴走を食い止めるが、同時に糖尿病の人や、そうでない人の血糖値を高めると考えられている。
そして今回「ムコール症」の治療を受けた人も、糖尿病の症状を示していた。Nair医師は、次のように語っている。
「糖尿病は体の免疫力を低下させ、コロナウイルスはそれを悪化させますが、さらにCovid
19に対抗するためのステロイドは、火に油を注ぐようなものです」
Nair医師によると、4月にはすでに40人ほどの真菌感染症の患者を診たという。
その多くは糖尿病患者で、自宅でCovid19から回復した人たちとされ、そのうち11人は外科手術で眼球を摘出しなければならなかったそうだ。(了)
出典元:BBC:Mucormycosis: The ‘black fungus’ maiming Covid patients in India(5/9)