イギリスで新型コロナの陽性者が1日に約5万人、専門家が警鐘を鳴らす
イギリスで新型コロナウイルスの新規陽性者が1日で約5万人になり、専門家が警告を発している。
過去7日間で感染者や死者も増加
10月18日、イギリスでは新型コロナの新規陽性者が4万9156人となり、7月中旬以来、1日の陽性者としては最も多くなったという。また陽性反応が出てから28日以内に死亡した人は45人と報告された。
17日までの過去7日間に陽性と確定された件数も30万人以上となり、それ以前の7日間の人数と比べて、15%も増加しているそうだ。
また10月11日から17日までの死者も852人となり、それ以前の7日間に比べて8.5%も増えている。
下のグラフはジョンズ・ホプキンズ大学のグラフ(今回の数値は反映されていない可能性があり、若干英政府の発表と誤差もある。参考のため提示した)。これは1週間ごとの推移を表しており、赤が新規陽性者数、白が死亡者数、緑が入院患者数となる。
「他の対策を考える準備も必要」
イギリスでは7月19日から、屋内でのマスク着用義務、バーやレストランの人数制限、集会の人数制限などが撤廃されたという。
しかしイングランドにおけるコロナウイルスの感染レベルは、第2波のピーク時に近づきつつあり、そのほとんどが学童の感染に起因するものとされている。
この状況を受け、イギリスの政府非常時科学諮問委員会(SAGE)の委員であるAndrew Hayward教授は、BBCのラジオ番組に出演。現在の状況に懸念を示し、次のように述べた。
「ヨーロッパの多くの国に比べて、イングランドの感染率、入院率、死亡率が非常に高いことは問題だと思います。NHS(国民保健サービス)が大きなプレッシャーを受け、多くの不必要な死が発生する可能性がまだ大きく残っているので、満足してはいけません。ですから、ワクチン接種率を上げる必要がありますし、事態が収拾できなくなった場合には、他の対策を考える準備も必要です」
さらにHayward教授は、感染率が高い理由として、免疫力の低下が「おそらく一因」であると述べ、感染症に対する防御機能が低下し始めていることを示すいくつかの証拠があり、重度の病気に対する防御機能も同様に低下していることを示す証拠があると付け加えた。
命と生活を守ることのバランスが重要
一方、首相官邸のスポークスマンも、今後数カ月間、厳しい状況になることは常に承知しているとした上で、次のように述べたという。
「我々が目にしているのは、患者数、入院数、死亡者数が、数カ月前に設定されたモデリングとほぼ一致していることです。ワクチン接種プログラムは、新しい治療法、検査、公衆衛生上のアドバイスとともに、今後も我々の第一の防御策となります。しかし、我々は当然、症例(患者数)を注視していきます」
しかし同時に「ワクチンの成功は、ヨーロッパで最も開かれた経済の要因の一つであることを意味し、国民や企業にも恩恵を与えている。重要なのは、命と生活を守ることとの間に適切なバランスを取ることです」と述べている。
現在、イギリス政府は「Withコロナ」的な政策を進めており、秋と冬の対策計画では、病院が逼迫した場合、ワクチンパスポートやマスク着用の義務化などの措置が検討されているという。
しかし現在のところ、この対策案(プランB)を導入する計画はないと主張している。(了)
出典元:METRO:UK records nearly 50,000 new Covid cases as expert warns immunity is waning(10/18)