火星に液体の水が存在する可能性を示す、新たな証拠を発見
以前から、火星には液体の水が存在するのではないかと言われてきたが、今回その可能性を示唆する、新たな証拠が見つかったという。
コンピューターモデルと一致
この研究を行ったのはイギリスのケンブリッジ大学や、シェフィールド大学とオープン大学、フランスのナント大学、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの科学者を含む国際研究チームだ。
彼らは火星の南極にある氷冠(氷河の塊)の上面の形状を、宇宙船のレーザー高度計で測定。その高さの微妙なパターンを特定したという。
そして今回、このパターンが、氷冠の下に水がある場合、表面にどのような影響を及ぼすかというコンピューターモデルの予測と一致することが示されたそうだ。
最近まで凍っていると考えられていた
そもそも火星の両極(北南の極)には厚い水の氷冠があり、その体積はグリーンランド氷床とほぼ同じだとされてきた。
地球の氷床の下には水を湛えた水路や大きな氷河湖があるが、火星の氷床は、寒冷な気候のため、最近まで底で凍っていると考えられていたという。
ただ実は、以前にも氷を透過するレーダーによる観測が行われており、その際のデータと今回の結果が一致したという。
つまり今回のコンピューターモデルの結果と、レーダーデータの組み合わせにより、現在の火星に少なくとも1つの液体の水(氷点下)の領域が存在する可能性が非常に高くなったそうだ。
生物の存在を意味するものではない
液体は生物にとって必要不可欠な要素だが、今回の結果は、必ずしも火星に生命が存在することを意味するわけではない。
シェフィールド大学のFrances Butcher博士は、次のように述べている。
「このような低温で液体であるためには、(火星の)南極の地下の水は非常に塩分が多く、微生物が生息するのは難しいかもしれません。しかしそれは、気候がそれほど過酷ではなかった過去に、より居住しやすい環境があったという希望を与えてくれます」(了)
出展元:INDEPENDENT:Scientists find further evidence of liquid water on Mars(9/30)