出血、脱糞…。迫真の演技で死んだフリをするヘビがいた!
天敵に襲われた時に動物が自分を守るために行う「死んだフリ」。腹を出して動きを止め、相手が興味を失って去っていくのを待つ、生き物の生存戦力だ。
捕食者が寄生虫を恐れて、または本能を刺激されなくなると考えられており、とても有効な手段だと考えられている。この「死んだフリ」を極めた生き物がいる。
スネーク界の名優・ダイスヤマカガシ
ダイスヤマカガシ(Natrix tessellata)は、名前の恐ろしさとは異なり、毒のない無害なヘビだ。市松模様の美しさから、海外ではペットとして飼育している人もいるようだ。
このダイスヤマカガシの中には、敵に襲われるとただ動きを止めるだけではなく、シューシューと音を立てながら悪臭を身にまとい、時には身体を糞便でまみれさせ、時には口から血をにじませる名優ぶりを見せるそうだ。
263匹のダイスヤマカガシを調査
セルビアのベオグラード大学の研究者らは、263匹の野生のダイスヤマカガシを調査。ヒトと遭遇して掴まれたヘビの行動を観察した。
ただ悪臭を身にまとって動かなくなるだけの個体もいたが、124匹が糞便で体を汚して、約28匹が口から血をにじませていたそうだ。単なる死んだふりの個体と比べ、糞便で身体を汚しながら口から血をにじませた11匹の蛇は、死んだふりをしている時間が2秒短かったという。つまり、巧みに死んだふりをする個体ほど、隙を見て素早く敵から逃げだしたということだ。
▼左が単なる死んだフリ、左が口から血をにじませる死んだフリ
こうした違いは、個体の性別、ケガの有無、体温、体の大きさ、年齢、胃の中の食物の有無、メスの卵の有無、過去の経験など、さまざまな要因によるものだと考えられている。
この研究は、BIOLOGY LETTERSにて5月8日に公開された。
参考:BIOLOGY LETTERS「Synergistic effects of musking and autohaemorrhaging on the duration of death feigning in dice snakes (Natrix tessellata)」(5/8)
参考:Science Alert「These Snakes Fake Their Own Deaths, And They Even Use Special Effects」(5/10)