中国政府、新疆ウイグル自治区にある数百の村や町の名前を強制的に変更
中国政府が、新疆ウイグル自治区内の数多くの町や村の名前を変えていたことが、明らかにされた。
宗教や文化に関する名前を変更
人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」と、ノルウェーに拠点を置く組織「ウイグル・ヘルプ」が6月に発表した調査によれば、名前が変更されたのは、約630のコミュニティに及ぶという。
この町や村の名前の変更は、主に2017年から19年に中国政府によって行われ、宗教的、歴史的、または文化的なカテゴリーを対象にしていたそうだ。
特に、宗教やウイグル人の文化的慣習に関する言及はすべて削除され、イスラム教(スーフィー)の教師に与えられる名前「ホージャ(hoja)」などの用語が、少なくとも25の村の名前から削除されたという。
また宗教建築の一種である「ハニカ(haniqa)」という言葉も10の村の名前から取り除かれ、神社を意味する「マザール(mazar)」は少なくとも41の村名から削除されたそうだ。
ウイグル文化を根絶することが目的
報告書によると、新しい村の名前は主に北京語で、2018年にはアクト県にあるアク・メシット(Aq Meschit・白モスク)村が、ユニティ村(Unity:統一、団結)に改名されたという。
またウイグル族の伝統楽器にちなんで名付けられたカラカシュ県のドゥタール村(Dutar)も、レッドフラッグ村(Red Flag)に改名されたそうだ。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のアジア局長であるエレイン・ピアソン氏は、次のように語っている。
「彼ら(中国政府)はイスラム教やアラビア語に聞こえるものはすべて脅威とみなしており、これらのものを、中国共産党のイデオロギーをより意識した名前に変更したのです。私たちは、モスクが破壊され、変更され、改変された際にも、同じ方法を見てきました。私たちは、中国政府がこの方法を利用して、表現の自由や文化的アイデンティティ、宗教の自由を侵害するさまざまな例を見てきました」
ウイグル人活動家のレイハン・アサト氏も、ガーディアン紙に対し、今回の変更はウイグル文化と人々を完全に根絶し、アパルトヘイト制度を作るという、中国政府の目標の一環であるとし、次のように語っている。
「それらの村の名前は歴史的記録としてだけでなく、コミュニティのつながり、独特の町の文化、価値観を体現しています。国が課した(名前の)抹消・置き換え政策は、ウイグル人を私たちの歴史、文化、文明から切り離すことを目的としているのです」
町や村などの名前を変更する政策は、最初にチベットで行われていたという。(了)
出典元:The Guardian:China has renamed hundreds of Uyghur villages and towns, say human rights groups(6/19)