トランプ氏とプーチン氏が会談、米国防長官はウクライナに領土を諦めるよう要求
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アメリカのトランプ大統領は2月12日、SNSでロシアのプーチン大統領と電話会談したと認め、ウクライナとの和平交渉について話し合うことで合意したと明らかにした。
和平交渉を開始することで合意
トランプ大統領は、SNSの「TruthSocial」において、「(プーチン大統領と)長時間にわたる非常に生産的な電話会談を行い、それぞれのチームが直ちに(ウクライナとの和平に関する)交渉を開始することで合意した」と投稿した。
また「私たちは、ロシアとウクライナの戦争が引き起こしている大勢の死を止めたいという考えで一致した。私たちは、互いの国を訪問することを含め、非常に緊密に協力することで合意した」とも書き込んだという。
ロシア政府も「プーチン大統領は、紛争の根本原因を排除する必要性について言及し、平和的交渉を通じて長期的な解決が達成できるという点で、トランプ氏と合意した」と述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領も2月12日、トランプ大統領と電話会談をしたことを認め、その後「ウクライナほど平和を望んでいる国はない」と発言。「私たちは、アメリカと共にロシアの侵略を阻止し、永続的で信頼できる平和を確保するための次のステップを計画している。トランプ大統領が言ったように、やり遂げよう」と述べたという。
2014年の国境に戻ることは非現実的
しかし新たに任命されたアメリカのピート・ヘグゼス国防長官は2月12日、ベルギーのブリュッセルでウクライナの国防大臣らと会談し、ウクライナがロシアに占領された全ての領土を取り戻すことはできないと認めなければならないとし、次のように述べた。
「我々は、ウクライナの『2014年』以前の国境に戻ることは、非現実的な目標であることを認識することから始めなければならない。この幻想的な目標を追い求めることは戦争を長引かせ、さらなる苦しみをもたらすだけだ」
2014年はロシアがクリミア半島を併合し、ウクライナ南東部のドネツク州やルハンスク州(ドンバス地方)の一部において、親ロシア派との間で武力衝突が起きた年だ。つまりヘグゼス国防長官の発言は、事実上ロシアによるクリミア半島とドンバス地方の大部分の併合を認めることになる。
ウクライナのNATO加盟も否定
ウクライナ側は以前から、「平和は強力な安全保障を通じてのみ達成される」と主張し、NATO加盟を求めてきたが、ヘグゼス国防長官は、ウクライナのNATO加盟は「現実的ではない」と否定。
また戦後のウクライナを守る主力は欧州軍であるとし、「(ウクライナの安全保障は)有能なヨーロッパおよび非ヨーロッパの軍隊によって確保されなければならない」と発言、アメリカ軍がウクライナに派遣されることはないと明言した。
さらにイギリスやヨーロッパ各国の軍隊がウクライナに駐留したとしても、それはNATOの任務の一部とは認められず、NATOの第5条の保証(加盟国に対する攻撃は、NATO全体への攻撃とみなすとの原則)にも含まれないだろうと述べたという。
その上で国防長官は「自国の国境の安全確保と中国との戦争抑止に関心を移す中、アメリカは、もはやヨーロッパとウクライナの安全保障を優先しない」とも発言した。
ロシアは、占領したウクライナの領土の割譲を望み、さらにウクライナがNATOに加盟することに反対し、中立・非武装化を要求している。さらに1997年以降にNATOに加盟した、ポーランドやラトビア、リトアニア、エストニアへの武器配備を停止することも要求しているという。
アメリカのバイデン政権は以前、「いつ和平協定を結ぶかを決定するのは、ウクライナ次第だ」と述べていた。(了)
出典元:The Guardian:Trump says he has spoken to Putin and agreed to negotiate Ukraine ceasefire(2/12)