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タイ政府が40人のウイグル人を中国へ強制送還、国連やEUなどが非難

タイ政府が40人のウイグル人を中国へ強制送還、国連やEUなどが非難
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タイ政府は、国内で拘留していた数多くのウイグル人を中国へ強制送還し、国連や各国から非難を浴びている。

 

10年以上拘留されていたウイグル人

 

タイ政府は2月27日、10年以上国内で拘留されていたウイグル人40人を、中国に強制送還したと明らかにした。プンタン副首相兼国防相は、国内法と国際基準に則って送還したと述べたという。

 

この動きに先立ち、国連は、中国に送られた人々が「拷問の危険」に直面するとの声明を発表していた。しかし、今回強制送還が実施されたことで、国連難民高等弁務官事務所やEU、アメリカなどが抗議を行ったそうだ。

 

また強制送還されたと思われるウイグル人の男性の家族も、このタイ政府の決定を「恥ずべき」だと非難している。

 

民族浄化政策が行われている可能性

 

新疆ウイグル自治区では、中国政府が推定100万人のウイグル族やその他のイスラム系少数民族の人々を投獄し、拷問や人権侵害、民族浄化政策を行っていると非難されてきた。

 

このため過去10年間に渡って、新疆ウイグル自治区からは数多くのウイグル人が大量に国外脱出してきたという。

 

そして2014年には、中国の新疆ウイグル自治区を逃れ、タイに不法入国した疑いで48人のウイグル人が拘束されていた。

 

「タイ政府の行いは恥ずべきこと」

 

ウイグル人の女性、ミフリマン・ムハンマドさん(38)さんも、中国の警察に逮捕され、ヒジャブを外すよう強要され、モスクでの礼拝に出席することを禁じられた後、当時夫だったポラットさん(39)と、新疆ウイグル自治区第2の都市コルラを離れたという。

 

その後、第2子を妊娠中だったミフリマンさんと息子は、なんとかトルコにたどり着いたが、ポラットさんはタイで逮捕され、以来ずっと拘留されてきた。

 

今回、タイ政府は、中国へ強制送還した人物の名前を公表していない。そのためポラットさんが実際に強制送還されたのかは確認されていないが、ミフリマンさんは次のように訴えている。

 

「家族も世界も、中国がウイグル族にとって危険な場所だと知っているのに、タイ政府がこれらの人々を中国に送るのは恥ずべきことです!(略)私たちはただ、犯罪者とみなされずに、子供を育てられる平和な生活を望んでいたのです」

 

現在10歳になる娘さんは、まだ父親のポラットさんに会ったことがない。

 

またガーディアン紙が入手した、タイで拘束されている他の3人のウイグル人からの手紙によると、彼らは自主送還に同意する文書に署名するよう求められたが、拒否したという。

 

そのうちの1人は、「中国に帰国することは、投獄か死を意味する」と手紙に書いていたそうだ。(了)

 

出典元:The Guardian:Thailand condemned for ‘shameful’ mass deportation of Uyghur refugees to China(3/3)

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